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経済界連載「鐵丸弁護士直伝!勝ち組企業養成講座」

其ノ拾壱「知財を恐れるな!」

今回の相談者

株式会社ニシナ製薬 副社長 仁科弘樹(64歳)

相談内容

 先生、先生、先生、先生、どうもですぅ。
 今日は、ワイフのアキコ、いや、社長が急に都合悪くなったものですから、私が代理で参りました。
 いえ、なんでも、エステの予約とダブルブッキングしたもんで、そっちを優先するから、アータよろしく、なんて、もう、婿養子もホント大変ですよ。
 いえ、今日はですね、特許の話でお邪魔させていただきました。
 弊社が最近発売しました「ルイコちゃん」っていう目薬がありまして。これ、タマネギや唐辛子の成分を抽出したものを使ったカンタンなもんなんですが、要するに涙腺を刺激して涙が滝のように流れ出る目薬です。
 こんなもん売れんのかな、なんて思っていたところ、「涙目で彼氏をゲッ〜〜ト」っていうCMで女子高生向けに売り出したところ、バカ売れしちゃいまして。
 そうそう、先生もCMみました?アレですよ、アレ。
 涙どころか笑いがとまらないくらい売れているんですが、3日前にマツカタ製薬っていう当社のライバル会社から「マツカタ製薬はタマネギや唐辛子の抽出物を成分とする目薬に関する特許を出願し、公開にまで至っている。ルイコちゃんはマツカタ製薬の特許を侵害している」なんてこと書いた内容証明郵便が来てから、大変な騒ぎになっちゃって。
 弊社も、「これからは知財経営が重要」なんてコンサルタントに言われて、昨年、知的財産部を作りまして、大手メーカー総務部を使い込みで退職させられた方に部長をやってもらっています。
 その部長が調べたら、たしかにマツカタ製薬が当社の目薬に関して書いてあると思われる特許を出願し、公開している。部長は、「もう負けだ。言うこと聞いた方がいい。和解を考えましょう」なんて弱気なこと言っている。
 他方、ワイフ、じゃなかった社長は、「アータ、和解なんてヤに決まってンじゃない。裁判上等じゃないの。こっちは鐵丸先生立てて勝ってやるわ。望むところよ。」なんて言っている。
 もう、どうしたら、いいんでしょう。

其ノ拾弐「M&Aの注意点」

今回の相談者

株式会社京葉土建 会長 浜田幸二(78歳)

相談内容

 鐵丸先生、元気でやってるかい?
 弁護士法人作ったんだってなあ。この前のパーティー行けなくて悪かったなあ。
 ま、今日、この相談終ったら、飲みに行こうや。地味なとこだけど、神楽坂のちょっとしたとこで芸者呼んであっからよ。この湿っぽい相談終ったら、パーと行こうや。なあ。
 ところでなあ、今日の相談なんだけどさあ、先生承知のとおり、ウチの会社は千葉ではまだまだいい客先たっぷりつかんで、いまだに売上は伸びている。市内のいい土地も相当押さえているんで、含み資産も山ほどある。
 でもよお、会社継がせようとして一生懸命商売教えてきた娘婿の野郎が他に女作ったばかりか、会社の金も横領してやがった。そうそう、ヤツの告訴は先生にやってもらんだよなあ。
 オレとしては、後継者育てるのが疲れちまってよお。M&Aっていうのか、まあ、早い話、会社売っ払おうと思って、知り合いの海山証券の社長に相談したんだよ。
 そしたら、ブラジャーだかブラザーだかなんだか長ったらしい名前の外人で、ウチの会社買いたいなんて言っている連中を紹介してきた。
 もちろんいい値段なら売る気はあるんで「ワン・プリーズ(ひとつ、よろしく)」って握手して話進めようってことになった。したら、この前、いきなり会社に会計士やら弁護士やら高そうなスーツ来た連中がやってきて、ジュースだかデラックスだか、そのなんだ・・・、そうそう、それそれ、デューディリジェンスやりたいとかぬかして、帳簿見せろとか言い出した。
 ウチの経理部長もボケてて、税務調査と間違えて「ここには書類がありません」とか半泣きで騒いだので、連中も呆れて帰りやがった。
 しかしよお、オレもよくわかんないが、会社買うのがそんな面倒くせえのか。デューディリジェンスとかって一体なんなんだよ。
 土建屋としてはソコソコやり手だが、何せ中卒だから、小難しいことはわからねえ。ちっとそのあたり、わかりやすく教えてくんねえか。

其ノ拾参「メインバンクによる役員選任干渉」

今回の相談者

株式会社東海スタイル 社長 野村聖子(46歳)

相談内容

 鐵丸先生、どうもお世話になっております。いつもお若いですねって?
 あら、やだ。そんなの、お世辞でしょ、ったく、お上手ですこと。
それより、聞いてくださいよ。
 いえね、当社は、長年、地元民間銀行、通称ジミン銀行、をメインバンクとしてがんばってきたんですけどね、昨年、ジミン銀行から助言されたリストラ策を拒否して、事業拡大のため営業人員を増強したのですが、これが裏目に出ちゃいました。
 このままでは年内には資金繰りが破綻するので、先日、ジミン銀行からの貸付金のリスケジュールを相談するため、土下座覚悟で「ジミン銀行詣」をしました。
 担当役員の大泉さんからは、散々厭味を言われた挙げ句、リスケジュールの条件として、経営陣を刷新することを求められました。
で、その内容が、ひどいのなんのって。
 私が代表権のない会長になることや、夫のツルヤスや友人のキャサリンを役員から辞任させることはまだガマンできますが、新しい社長に、株式会社江崎ファッションの佐田ゆかりを迎えろ、と強硬に言われました。
江崎ファッションは、当社のライバル企業ですし、佐田ゆかりとは、大学こそ同期ですが、犬猿の仲。嫌がらせとしか思えません。
 ジミン銀行の大泉さんは「リスケジュールしたいんでしょ。条件呑めなきゃ、御社は民事再生でもしてもらうしかないですな。そうしたら、大口債権者である当行主導で、いずれ、江崎ファッションさんに二足三文で、営業譲渡しちゃいますよ」と言い放って、仕事だか遊びだかわからない用事でアメリカ旅行に出かけてしまいました。
 彼が帰ってくるまでに、当社としてどう対応したらいいか決めなきゃなりません。
 先生、どうしましょう。佐田ゆかりに代表権譲くらいなら、死んだ方がマシです。

其ノ拾四「あな恐ろしや、自力救済!」

今回の相談者

株式会社大地不動産 社長 鈴本宗雄(58歳)

相談内容

 ややややややや、先生、先生、先生。
 大変なことになっているんですよ。
 当社が下北沢に所有している、学生向賃貸用のワンルームマンションでトラブルになりましてね。トラブルっていっても、バカバカしい話なんですよ。
 このマンション、もともと社宅だったんですが、昨年末に購入後、リフォームしまして、ちょうど今年の春から学生向けに入居を募集したんですよ。
 場所柄すぐに満室になったとこまではよかったのですが、借りた学生にどうしょうもないのがいましてねぇ。
 入居した当初から、「日当たりが悪い」「騒音がうるさい」「隣の学生が女連れ込むので迷惑だ」「エレベーターを掃除しろ」なんてクレームばかりいいやがるんですよ。
 そのうち、「この部屋は居住環境にはほど遠い代物だから、家賃はその分下げます」なんてふざけたこと書いた手紙出してきて、6月ころから、8万円の家賃を4万円にしか払わなくなった。
 こっちは、総務部長が対応して、出てけって通告したんですが、学生の方は「解除には理由がない。出て行かせたければ裁判でも起こしたらいい」なんて、これまたナメたことをいいやがる。
 あんまりふざけているんで、もう追い出すことにしました。
 幸い、ゼミ合宿だかなんだかで明日から学生の野郎いないから、引越業者手配して荷物を実家に送り返してやるんですよ。
 引っ越し代を連帯保証人の親に請求するので、そんときは、先生頼みますよ。

其ノ拾五「節税商品に気をつけろ!」

今回の相談者

株式会社オフィス・ワン・トゥー・スリー 代表取締役 間目 宏(62歳)

相談内容

 相談なんですが、実は、節税のことなんです。
 といっても、先生に節税プランを考えてくれって言うんじゃないんです。
 実は、ピーマン・シスターズっていう外資系の証券会社に勤めている大学時代の同期で御法川(みのりかわ)っていう調子のイイのがいるんですが、そいつが、節税商品買わないか、って言うんです。
 私も仕組はよくわからないんですが、ファンドを通じて、アメリカの著名歌手が今度作るアルバムの権利か何かを買うことにより、多額の損金を私の会社が計上していいって言うんです。
 先生もご承知のとおり、当社は、今期も来期も利益がかなり出るので、節税に頭を痛めていたところなんです。
 売り込んでくる御法川は、「大丈夫、任せろ、任せろ。税金なんて払うヤツはバカだ」なんて言って、やけに自信タップリなんです。
 先生にはバブル期の変額保険の問題でもお世話になりましたが、ああいう失敗経験もあるので「金融屋の口車に乗るとロクなことはない」ってのが肌でわかってまして、心配になったんです。
 先生、やっぱり、こういう節税商品って、問題あるでしょうか。