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経済界連載「鐵丸弁護士直伝!勝ち組企業養成講座」

其ノ四拾壱「並行輸入品の修理を拒否したい!」

今回の相談者

株式会社マッサル・バイク 社長 浜田勝<はまだまさる>(35歳)

相談内容

 当社が長期間かけてイタリア製レース自転車「ハマ・グッチ」の日本総販売代理店の権利を獲得し、5年前からディーラー網を整備してきたことは先生もご存じのことと思います。

 ところが、昨年から、「ハマ・グッチ」の並行輸入品が出回るようになりました。
現在のところ、先生のご指導を受けて、当社が許諾を受けている「ハマ・グッチ」のロゴをネット上で勝手に使用している並行輸入業者に対して片っ端から内容証明郵便による通知書を送りつけ圧力をかけています。ま、こちらはこちらで効果が出ているようで、ネット上での大々的な並行輸入品販売は少なくなりました。

 ところで、今、頭を悩ましているのは、並行輸入品の修理依頼なんです。

 「ハマ・グッチ」自転車は、特殊な部品を使っていて、修理の際には、これら特注の部品を使用する必要があるのです。無論、当社は、正規ディーラーとして、正規品を購入したお客様からの修理に対応すべく、全部品について常に一定量の在庫をもっています。しかし、ウチとしては、「並行輸入品を買った客の面倒まで見る必要なし」という態度を貫いており、ユーザー登録していただいている正規販売品ユーザー以外の方からの持込修理依頼は一切お断りしています。

 そうしたところ、恐らく並行輸入業者が、裏で動いている嫌がらせだと思うのですが、昨年修理をお断りした並行輸入品ユーザーの方から、「並行輸入品の修理拒否は、独占禁止法違反だ」という内容証明郵便による通知を出してきたんです。

 一体、何なんですか、これは。こんな理屈がまかり通るんですか。

其ノ四拾弐「事業承継の極意!」

今回の相談者

株式会社菊王ラーメン 社長 林菊雄<はやしきくお>(69歳)

相談内容

 先生、正直、もう疲れましたよ。創業以来、40年、この菊王ラーメンの看板を背負って最前線でやってきましたが、もう限界です。

 いえね、この間、高校の先輩で、大手寿司チェーン店「ウタマロ寿司」の創業者として有名な勝浦歌麿さんと飲みに行ったんですよ。

 そしたら、歌麿先輩、「オレ、去年引退しちゃったよ」って言うんです。なんでも、事業承継っていう方法があるらしく、歌麿先輩も、銀行のセミナー聞いて、「いっちょやってみようか」って気になったそうです。

 歌麿先輩んとこのご長男さんは大手商社に入社して飲食事業を勉強された優秀な方で、争いもなく、すんなり承継ができたそうなんです。

 ただ、先輩からは、「オレんとこみたいに、ほとんどの株をオレがもってて、後継者も長男に決まってて問題なさそうなところでも、税の問題やら特殊の株の発行やらで、結構時間がかかったよ。菊ちゃんのところみたいに、後継者の長男さんが頼りなかったり、株を渡したまま喧嘩別れしちゃった弟さんなんかがいると、結構厄介だぜ」なんて脅かされています。

 先輩のおっしゃるとおり、バブル期には銀行出身の弟を専務にして株式公開を目指してがんばっていたのですが、その後株式公開の話が立ち消えになると、途端に弟と仲が悪くなり、彼が株をもったまま会社を辞めて以来険悪な仲です。後を継がせようと考えいる長男ですが、人望がなく、親子関係すら円満ではなく、後を譲った途端、私の面倒をみずに好き勝手やりそうで、心配です。

 どうやったら、うまく事業承継して、楽隠居できるんでしょうか。