00125_「決断の技術」_7_「想定が狂ったとき」の想定をしておく

1、想定が狂ったらすぐに逃げれるよう準備をしておく

想定が狂ったときも、想定しておきましょう。

小さな想定狂いだったらいいんですよ。

小さな想定狂いっていうのは、想定の範囲内ですからね。

よくホリエモンが言ってましたね。

「想定の範囲内だ」って。

小さな想定が狂うっていうのは、想定の範囲内ってこともありますが、大きく想定が狂った場合どうするかってことが大事です。

「リスクに立ち向かうんだ」とか、
「こんな想定外ぐらいは、俺ははね除けていくんだ。この状況に立ち向かうんだ」とか
って言う方がいますが、立ち向かっちゃ絶対駄目です。

想定が大きく狂ったら、すぐに引き返して、決断前に戻るべきです。

そして、再度ストレステストであったり、あるいは選択しなかったB案の長所短所も含めて、立ち戻って考えてもいいわけです。

もちろん時間の経過がリスクだったり、不可逆的選択で、遡及不可能な状況っていう場合は別です。

そうでなければ、元の決断の起点に戻っちゃたって構いません。

2、失敗して、やり直す。後戻りする。そのまま放置し先延ばしする。全然アリっしょ。

そういうとき、
「なんか間違った決断をしちゃったから、俺ばかなんじゃないか」とか、
「俺はバカだと思われたくない」とか、
という愚にもつかないプライドを持ち出して、もう想定が大きく狂っているのに、最初の決断をそのまま維持して、
悲壮な覚悟で「狂ったことがすでに判明している決断と一緒に心中するんだ」って
いう方もいらっしゃいますけど、これ、ホンマモンのアホです。

人間、間違うこともあります。

かく言う私だって、失敗、間違いの連続です。

知らなかったこと、間違って理解していたこと、間抜けで身勝手な展開予測をしていたこと、その結果、やらかしたことなんて、死ぬほど、山ほどあります。

いえ、そういう失敗がいやで、情報も知性も、そこそこのものを実装しようとして、そこそこ勉強して、東大に行き、司法試験に合格し、留学して、アメリカの司法試験にも合格したわけですが、それでも、毎日、秒単位で、間違えます。

でも、そんなに悲観しません。

東大出てる私ですら、それなりに一生懸命考えても間違うわけですから、いわんや(中略)ということだったら、やっぱ間違うっしょ。

ですから、気に病むこたぁ、ござーやせん。

間違えたり、想定狂ったら、すぐに、元に戻ります。

戻ってみて、
「あれ、ちょっとやばい決断しちゃったかな?」
と思ったら、やり直したって、いいわけです。

やり直さず、
「もう散々、懲り懲り、や~んぺ」
といってそのままほったらかしでもいいわけです。

ちょっと違うなと思ったら、やめて、中途半端なまま、そのまま、先延ばしにして有耶無耶っていうようなこともあるでしょうから。

失敗して、やり直し、後戻り、ほったらかし。

上等ですよ。

格好悪くないですよ。

失敗も、やり直しも、後戻りも、ほったらかしも、堂々とやられると、皆、そんなもんかな、と思って納得しちゃいます。

そんなの、我がニッポンのエスタブリッシュメントもよくやっていますし、大日本帝国時代以来のエリート官僚のお家芸ですよ。

例えば、第2次世界大戦における歴史的事実に関しては、
「ボロ負けの末の撤退」を「転戦」
と言い換え、
「敗戦」を「終戦」
と言い換え、
「占領軍」を「進駐軍」
と言い換えるなどして、ぶざまな失敗を取り繕い、隠蔽しようとします。

昭和天皇が曰われた、
「終戦の詔勅」なんて、
妙に立派な格調高い美文で、聞いていると、負けた人間の謝罪ではなく、これから宣戦布告でもするかのような立派な心意気を感じてしまいます。

ボロ負けに負けても、すがすがしいくらい、堂々としていると、そのうち、勝ったか負けたかどうでもよくなって、有耶無耶になる。

世の中、そんなもんなんです。

3、朝令暮改どころか、朝令朝改、3分毎の方針変更でも問題なし。

こういう言い方をすると、
「なんか首尾一貫しないじゃないです」とか、
「それ、朝令暮改です」とか、
言われますが、別にいいんじゃないですか。

朝令暮改、上等ですよ。

朝令朝改、全然ありですよ。

状況変わってるわけでしょ。

状況変わったらポリシー変えたらいいんです。

すでに状況変わっているのに、ポリシー守って悲惨な目に遭ってもしょうがないじゃないですか。

ポリシーなんてどうでもいいっちゃどうでもいいです。本当大事なポリシーでない限り。

「ポリシーをもって状況を変える努力」
じゃなくて、
「状況に合わせてポリシーを変えちゃう」
ってのがクレバーです。

有名な経営者とか著名なリーダーっていうのは、みんな、そんな感じの、卑怯で姑息で首尾一貫しない、自分優先で周りの迷惑は知らんぷりの、徹底した自己中心的なリアリストです。

もう状況が変わったら、さっさとポリシー変えてますよ。

だから、有名なオーナー経営者さんとか、立派な創業者の方の下で働く人は大変なんですよ。
朝言ったことは 1時間後に変わってるのが普通ですから。

よく考えたら、そうですよね。

リーダーや責任者は、最後自分が結果の全責任を負うわけですから。

ですので、状況変わってんのに、ポリシー守って全滅させるってことはありえません。

状況に応じてポリシーをくるくる変えて組織を守るっていうのが実に自然な行動哲学なのです。

逆に言うと、状況変わってんのに、想定狂ってんのにポリシー守って全滅になっちゃった、なんていう愚劣な事例は、先の大戦等をみるまでもなく、歴史上山ほどあります。

先の大戦のアホな経過を見るだけでも、「ポリシー守って、状況の変化に関わらず、最初の決断を墨守することが、いかに悲惨な結果を招くか」っていうことは、理解いただけるかと思います。

4、逃げてちゃっていいんですか?いいんです!堂々と逃げちゃってください!

ということで、柔軟に考えてください。

逃げていいんですよ。

「一度決めたものは、私は男として守るんだ、初志貫徹だ」
とかって言う人いますが。

立派な美徳です。

その価値は認めますよ。

だけど、私はそんな考え方、ポイです。

「逃げるが勝ち」
「三十六計逃ぐるが上策なり」
って言いますよね。

異論はあるかと思いますが、例えば、投資やってていっぱい金を増やす人の戦略っていうのは、基本的に
「逃げる」
ですからね。

投資でうまくいくコツっていうのは、
「勝ち逃げ」と「損切り」
でしょ。

両方とも思いっきり
「逃げる」戦略
じゃないですか。

逆に投資やってて、
「相場が当初の想定と違う動き方をした。でも僕はこのリスクに対して立ち向かうんだ。最初の初志貫徹だ。一生もってるぞ」
っていう人は、みんな金無くしてますよね。

むしろ、
「状況変わったら、朝令暮改で、すぐに成り行きで清算しちゃえ」
という人のほうが、最後お金残しますからね。

調子乗って、相場が上げ相場であっても、ドーンと下がる前に先に清算して、地味に利益を確定しちゃう、ってこともやる。

そんな、地味で、つまんない、夢もロマンもないルーティンを、冷静かつ冷徹にやりきった人間が、一番最後に金を残すわけでしょ。

想定が狂ったら立ち戻ったり、想定が間違えたことを前提にして元の決断前の議論に戻ったりしても、全然構わないわけです。

5、少しでも不安が出てきたら、他人の迷惑一切顧みず、「やっぱ、や~んぺ」と言い出しちゃえ!

何度も言いますように、朝令暮改や、
「やっぱ、や~んぺ」
と言い出したりしていると、時間と機会という資源を失くしていきます。

だから、後戻りや先延ばしをすることで、時間や機会の喪失がリスクになる場合は別です。

時間や機会の喪失がリスクでなかったり、たいしたダメージにならない場合であれば、どんどん時間をかけて先延ばしをしたり、後戻りして元に戻ったりしてもいいわけです。

もちろん、後戻りや先延ばしをしたり、話をちゃぶ台返ししたりしていると、周りは迷惑します。

とはいえ、ですよ。周りとか、世間とか、知ったこっちゃないですよ。

少なくとも、成功者や金持ちは、みんな、そんな感じで、チョーわがままです。

友達にはしたくないですが、お客さんとして、警戒してお付き合いするのはアリです。

先延ばし、ちゃぶ台返し、後戻り、全然ありでしょ。

周囲とか世間とか、首尾一貫していないとか言われようが、関係ナッシングっしょ。

だって自分の人生にとって大事な決断なんでしょ。周囲とか世間とか、知ったこっちゃないですよ。

例えば不動産買おうと思ったんだけど、決済の前の日に、同じような状況の不動産くい打ちデータの改ざんが報道されましたっていうときに、
「いや、このマンションのくい打ちデータを検証したいので、日延したい」
とかいって、決済を先延ばしするのも全然ありですよ。

もちろん、不動産屋さんとか、司法書士さんとか、銀行さんとかは
「エーッ!(怒)」
って顔しますけど、知ったこっちゃないですよ。

「なんで、お前らに気ぃ使って、俺が損するようなリスクしょったりしなきゃいけないんだ?!」
っていう話ですよ。

どんなに他人の期待に背いたり、他人に迷惑掛けても、自分にとって大事な決断ですから、それはもう一度慎重にゆっくり、そもそもそのマンションとか不動産を買うか買わないかも含め、考えたらいいんです。

周りの人たちは、
「うまくいったらお金になる」
って意味で勝手に期待して、勝手に自分をダシにした利害関係をもってて、期待しているだけです。

なんで
「エーッ!(怒)」
って言ってるかっていうと、自分たちの利益が遠のくからであって、自分を心配しているからではないわけです。

そんな連中に、気を使う必要なんて、ビタ1グラム、ありませんよ。

著:畑中鐵丸