ビジネスプロジェクトが失敗に至った場合、プロジェクトの目的達成や責任の所在について明確にし、関係者が適切な行動を取っていたかを検証するために、以下の項目を査問します。
このチェックリストでは、プロジェクト遂行の各段階での関係者間の認識共有、リスク管理、調達手順の妥当性が確保されていたかどうかを確認します。
推進方策の確認
1 プロジェクト全体のオプション調査について
プロジェクトのビジネス目標と実行上の障害(コスト、労力、全体的な負荷)をふまえ、デリバリに関する全オプションが調査されていたか。リソースやコスト面も含め、プロジェクト達成のために現実的で合理的な選択肢が十分に検討されていたか。
2 ビジネスニーズの共有と変化への備え
プロジェクトのビジネスニーズが、主要関係者間で共通認識として確立されていたか。
また、プロジェクトオーナーや上層部による方針変更(「ゲーム・チェンジ」など)に備え、その変更が適切に記録され、関係者全員に共有されていたか。
3 要求仕様とプロジェクト成果の整合性
プロジェクトの成果物が当初の要求仕様を正確に反映していたかどうか。
また、成果物が仕様と異なる場合、ビジネス要求を満たすための調整が行われたか。
要求仕様に変更があった際、その承認プロセスや履歴が適切に記録されているか。
4 調達ルートの検討状況
調達にあたり、供給側のリソースや価格を考慮した上で低廉な選択肢が検討されていたか。
調達における選定基準や価格面での合理性がどのように判断され、その記録が残っているか。
また、ビジネス上でのコスト合理性も含めた検討が行われたか。
5 プロジェクトのマーケット価値に関する仮説検証
プロジェクトが市場の関心を引き、ビジネスとしての価値を発揮するものであるかについて仮説が立てられ、その仮説がどのように検証されたか。
プロジェクトの効果やリスクについて異論が出た場合、その議論が適時に行われ、意見の違いに対する責任範囲も明確に区切られていたかどうか。
6 調達手順の客観性・妥当性
調達プロセスにおいて客観性と妥当性が確保されていたか。
また、主要関係者や上層部もその手順に同意していたかを確認する。
プロセスに不透明な点がなく、調達の妥当性を証明できる記録が残されているか。
7 推進段階取りの明確性と合意
プロジェクト推進における各段階が明確に定義され、主要関係者からの合意が得られていたか。
また、進行中に段階取りの修正が必要となった場合、その内容が関係者全員に共有され、適切な手続きが行われていたか。
その履歴も含めて確認する。
8 プロジェクト推進戦略に関するリスクの認識
プロジェクトオーナーや関係者が、方針変更やプロジェクト戦略に影響を及ぼすリスク要素を事前に認識し、これを明確に記録していたかどうか。
また、そのリスクがどのように管理され、プロジェクト進行上で適切に対応されていたか。
上記の各項目を通じて、プロジェクト進行過程での判断の妥当性と管理の透明性を検証し、説明責任を追及することで、責任の所在を明らかにします。
上記は、総務省内の政府情報システム改革検討会の文書をお手本としています。
次の、32ページ~35ページを基に、ビジネスプロジェクトにおける合理的な想定質問として、整理したものです。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000104852.pdf
上記を参考に、他(たとえば、親会社と子会社間の共同プロジェクト等)にも応用できる、ということです。
著:畑中鐵丸