00213_ケーススタディ_「増員要求」にどう向き合うか ―欠員見直しを考えるとき、経営者が忘れてはいけない視点

<事例/質問>

先生、少しご相談させてください。

「経理の担当者が1人退職する。だから人を補充してほしい」
と、経理部長が言ってきました。

理由を聞くと、
「人がいないと今の業務量では回らない」
「この機会に効率化も考えたいが、やはり時間がかかる。だから今は人を入れてほしい」
と。

正直、私はモヤモヤしています。

「今回は欠員補充だから仕方ない」
と割り切るべきなのか。

でも、それを認めた瞬間、
「仕事が多ければ人を増やせばいい」
という考え方が、この組織に染みついてしまうのではないか――そんな気がしてならないのです。

だから、簡単に首を縦には振れません。

この場面で、経営者としてどう判断するのが正しいのか。

畑中先生なら、どう考えますか?

<弁護士畑中鐵丸の回答・アドバイス・指南>

まず、大前提として伝えたいのは、
「忙しいから人を増やしてほしい」
という話は、仕事の本質からズレている、ということです。

忙しい理由の多くは、
「考えずに手を動かしているから」
です。

想像してみてください。

昼のピーク時に
「もう無理だ、店員を増やしてくれます!」
と騒いでいるラーメン屋があります。

でも、本当に繁盛している店は違います。

一番忙しい時間帯こそ、
「どうすれば今の人数で回せるか」
を真剣に考え、工夫を重ねています。

その積み重ねが、店の力になっているんです。

今日の話も、本質はまったく同じ。

「苦しいから助けてほしい」
「考えたくない」
「現状をそのまま認めてほしい」
・・・要するに、
「泣き言」
なんですよね。

したがって、社長としてやるべきことは1つです。

業務をすべて洗い出させ、効率化の可能性を検討させた結果「どうしても人員が必要だ」というのであれば、プロコン含めてその内容を報告させることです。

「苦しいから人が欲しい」
という気持ちは、もちろん理解できます。

でも、それを理由に人を増やすのは、経営としては間違っています。

増員を求めるなら、
「なぜ今の体制では回らないのか」
「どこに業務が集中しているのか」
「そもそもその業務は本当に必要なのか」
ここまで考え抜いた結果、論理的に説明できる状態になって初めて、議論のテーブルに乗せるべきでしょう。

そして、この考え方はチーム全体にも徹底させるべきです。

「苦しいから人を増やす」
そんな甘えは、今ここで断ち切らなければなりません。

増員は、最後の最後の手段です。

まずは
「業務の棚卸し」
そして
「効率化の提案」
そこから始めることです。

そのプロセスを経て、どうしても必要だというなら、その時、会社の未来にとってプラスかどうかを基準に、経営として判断すればいいのです。

著:畑中鐵丸