リゾートライフについて語りますと、「”世界最強リゾート都市”、それは、実は、東京」というのが私の持論です。
もちろん、東京そのものがリゾートである、ということではありません。
「世界水準のリゾートライフ」
へのアクセスが、東京ほど完備されているところはない、という意味です。
アクセスの利便性、完成度、洗練性については、よく考えれば、世界中の都市生活者にとって垂涎の的となるレベルだと思います。
私が、パリやロンドンとかのヨーロッパの大都市、あるいは、ニューヨークやシカゴやロサンゼルスといったアメリカの大都市に住んでいたとします。
アメリカやヨーロッパの大都市住民である私が、
「休みになったし、スキーでも行くか」
「寒いから、南の島に行って昼寝でもするか」
「どこか温泉に行って、美味しい鍋でも食べてゆっくりするか」
と考えても、これを現実に実行するまで、かなりの時間とカネと労力がかかります。
アメリカやカナダやスイスにもスキー場はあるにはありますが、パリ、ロンドン、ニューヨークからスキー場に到達するまで、1日、下手すりゃ2日かかります。
アメリカだと、フロリダまでひとっ飛びでしょうが、パリやロンドンから南の島、となるとかなり大変そうです。
欧米で温泉のあるスパリゾートと言えば、ドイツのバーデンバーデンが有名ですが、パリやロンドンやニューヨークから行くにはかなり大変そうです。
手軽にリゾートライフが楽しめず、というか、リゾートライフを楽しもうとすると、途方もない、時間とカネと労力がかかるし、たどり着くまでの負荷が相当なものなので、一度リゾートライフが始まったらかなり長期間楽しまないと、元が取れないし、もったいない。
そんな前提があるから、欧米のバカンスって、あんなに、無駄に、アホみたいに長いんだろうな、と思います。
仕事好きの私からすると、何週間も仕事するな、と言われると、死にたくなるくらいの拷問ですが。
話を元に戻します。
そんな風に、世界の普通の都市住民にとってはリゾートライフはかなりの負荷を覚悟をしないと実現しないものですが、東京にいると、わずかな時間と費用と手間で、というか、世界の他の都市からすると、「ほぼ一瞬」といってもいいレベルで「世界水準のリゾート地」までたどり着け、また、その気になれば、東京まですぐに帰ってこれます。
今の季節ですと、例えば、上越新幹線に1時間強乗って越後湯沢まで行ってしまえば、積雪3メートル級で、最上級のコンディションのスキー場がそこらじゅうに出てきます。
しかも、温泉もあり、ご飯も旨いし、日本酒も旨い。
「トンネルを抜けると雪国であった」
というのは有名な川端康成さんの書いた小説の一節ですが、現在では、
「上越新幹線に乗って、ビール飲んで、スマホいじっていると、いつの間にか雪国だった」
くらいの展開速度です。
パリやロンドンやニューヨークに置き換えると、
「空港に行って手荷物検査している間に、スキー場に到着していた」といったような話であり、ドラえもんの「どこでもドア」
を使ったくらいの、衝撃的なスピードと利便性です。
また、国内に亜熱帯気候の沖縄を擁する我がニッポンは、真冬の時期は難しいにしても、
「パスポートなしで、南国リゾートまで、週末ひとっ飛びして、リフレッシュしたら帰ってくる」
という弾丸ツアーも、さほど無理せず実現できます。
長野新幹線や北陸新幹線を使えば、
「週末を利用して、3000メートル級の日本アルプスで本格登山」
といったことも可能です。
沖縄のダイビングスポットも、海外で知られるようになってきたようですが、透明度やサンゴ礁の美しさは、世界屈指レベルです。
私はしませんが、釣りをする方にとっては、海に囲まれ、山が多く川があちこちに流れている日本の「釣り環境」は、世界的にみてもかなりのレベルであろう、と思います。
ところで、冬になると、知り合いの社長さんの話を思い出します。
この社長さん、趣味がスキーで、週末になると、一人、日帰りで、スキーに行くそうです。
朝起きて、そのまま、ゴーグルとか手袋とかちょっとした荷物だけもって上越新幹線に乗り込み、駅についたらタクシー乗って5分でNASPAニューオータニへ。
スキー、ブーツ、ストック、ウェアをフルレンタルし、滑って、滑って、滑り倒す。
合間に、SATSUKIでお茶したり(NASPAには、なんと、東京と同様、SATSUKIがある!)し、疲れたら、適当に切り上げ、ホテル内の温泉へ。
帰りは、駅構内の日本酒バーでいっぱいひっかけて、帰る。
そんな、弾丸ツアーのスキーをなさっているそうです。
弾丸ツアーというと大変そうですが、その社長さん、
「すごい楽で簡単だよ。ほんと、すぐだし。鎌倉か高尾山行くのと同じ時間だよ。多分、保土ヶ谷でゴルフするくらい簡単。こっちは渋滞ないし、温泉あるし、荷物いらないし。全然楽しいよ」
とおっしゃってました。
で、最近、私も、用事があって、越後湯沢方面に行ったのですが、高崎超えて、20分もたたないうちに、景色が一変して、大雪に埋もれる雪国。
本当、まるで、ワープ。
「欧米人がみたら、この景色の変化、腰抜かすだろうな」、
と思った次第。
それと、日本のリゾートの最も強力な利点は、食事のクオリティです。
日本は、国内どこにいっても、和食はもちろんのこと、中華も洋食も、世界最強水準です。
海外は、あちこち、そこそこ行きましたが、ローカルなお店も、高級ホテルの食事も、現地で一流と言われるレストランも、どこも例外なく、飯は、腹が立つくらいまずいです。
海外旅行に行く度に思うのは、「旅行中、最も美味しい食事は、羽田や成田のJALの空港ラウンジのビュッフェと、ビジネスあるいはファーストの機内食」ということです。
普段、あまりに当たり前になってしまい、気づかないことですが、「東京に住んでいる」ということは、
「リゾート地まで行ける、どこでもドア」
を持っている、そんな異次元レベルの利便性がある、ということと同じです。
「3週間とか、無駄に長いバカンスがないと、リゾートにたどり着けず、効果的なリフレッシュできない、世界の他の都市住民」
に比べると、安く、早く、手軽に、気軽に、リゾートライフを楽しめる、
「東京という都市の、隠されているものの、あまりに強力な魅力」
は、今後、オリンピック等を経て、世界にどんどん知られていくことになるものと予想されます。