00188_ビジネスプロジェクト失敗に備えるということ

0018700186を、攻守を逆に考えたものです。
想定QAを事前に作成しておけば、
「落ち武者狩り」
にも対抗できるでしょう。

そのためには、変更の痕跡管理を徹底することです。

方針や目標が変更された際、いつ、どのように変更されたのかを明確に追えるよう、痕跡をしっかり残すことです。


1 失敗を見越した事前準備

万が一の事態に備え、状況を整理し、説明のための記録を残しておくことが重要。
プロジェクトがどのようなリスクにさらされ、どのような対応策が検討されてきたのか、履歴も含めて検証しているか?

2 証拠となるデータの保持

将来、責任の所在が問われたとき、証拠として使える形で必要なデータや記録を保持しているかどうか。

3 対外的な説明準備

失敗が発生した場合、なぜそのプロセスや方針が採用され、どのように変更が行われたのかについて、外部に対して明確に説明できるよう準備を怠らない。

4 楽観主義に偏らない戦局認識

プロジェクトの失敗を考慮することは、自らの立場を守る手段であると同時に、関係者全員を守る行動でもある。

5 検証結果を振り返る機会とする

失敗した際には、反省の材料とし、次に活かすための
「良き学びの機会」
として捉える。


プロジェクト推進者の仕事は、あらゆるリスクを見越し、責任ある立場として記録を残し、
「適切な行動を取った」
と、後から説明できるようリスク管理の方法を決定することにあります。

「慎重に対応する」
ということは、
・身の程をわきまえ、
・楽観バイアスに惑わされず、
・戦う前に逃げ道を確保する狡猾さを持つ
ということです。


尚、生き残る人間とは、戦う前にリアルに負けを想定できる人間です。

自決の場面をイメージし、自決用の安楽死薬を用意しておくと、精神的余裕が生まれ、バイアスなく戦局を客観視できます。

結果として、高い割合で勝つか、少なくとも生き延び、自決の準備は無駄に終わるのです。

卑怯や卑劣と思われるかもしれませんが、古代中国の天才戦術思想家もこう言っています。
「三十六計中、逃げるが上策なり」


プロジェクトが成功すると信じることは重要ですが、度を超えた楽観主義は、自分と関係者を地獄に突き落とします。

「単純な成功を目指して仲良く、楽観的に考える」
のではなく、
「プロジェクトが失敗した場合に、適切に行動したことを説明できるようにして、落ち武者狩りに会わないこと」
と認識し行動することこそが、
「他人のカネやリソースを使ってプロジェクトを推進する者としての誠実さである」
といえるでしょう。

著:畑中鐵丸