ビジネスプロジェクトを進めていく上で、内部で共有すべき本質的な軸やゴールは、どのような状況においてもブレてはなりません。
そのために、プロジェクト開始時に
「一等賞」
と
「残念賞」
という基準を設定することは、リスクを明確にし、それを管理するための重要なステップです。
そして、ポジティブなニュアンスでチームの方向性を共有することが可能になります。
一等賞(目指すべきゴール)
1.事業が潤う
顧客から信頼を得て、継続的なビジネスの成長を実現し、収益が安定する。
2.事業パートナーの経済的成功
外部専門家や関連スタッフがプロジェクトの利益を得ることで協力体制が強化され、再投資が可能な環境が整う。
3.長期的な基盤の確立
顧客から安定的な収益を獲得し、事業の継続・拡大が可能となり、持続可能な運営を確立する。
残念賞(回避すべき状況)
1.市場や顧客が存在しない
顧客が存在せず、ニーズが明確化できない、あるいはビジネスモデルが具体化できない場合。
2.過剰な経営資源消費
資金や時間が過剰に費消され、事業が継続できない場合。
3.撤退したとしても、以下を実現することが重要:
– チームメンバーの士気を維持すること。
– 戦友としてのネットワークを充実させること。
– 経験値とビジネスネットワークが広がれば、価値がある。
リスクの明示と管理
「一等賞」
を目指し、
「残念賞」
を回避するためには、潜在的なリスクを理解し、正しく管理することが前提です。
以下は、リスクの例とその対策です。
リスクの例
1.市場調査の不徹底
顧客ニーズを正確に把握しないまま行動を開始し、提供する価値が顧客に響かず、コストや時間を無駄にする結果となる。
2.初期費用の膨張
事業の方向性が固まる前に過剰な資金を投入すると、採算が取れず投資回収が困難になる。
3.チームの連携不足
役割分担や権限・責任が不明瞭で、チーム内の意思疎通がうまくいかない。進捗が滞る。
リスク軽減の手法
1.低コスト参入の徹底
「しびれるくらいのケチケチ立ち上げ」によって、初期投資を抑える。
2.損失負担ルールの明確化
メンバー間で損失責任を事前に明確にし、予期せぬ負担が生じないようにする。
3.撤退の見極め
進退のタイミングを迷わず判断できる撤退基準を設定する。
4.チーム環境の維持
「話が分かるかどうか」を重視してメンバーを選び、権限と負担のバランスを適切に調整する。
一等賞と残念賞を軸としたプロジェクト推進の効果
「一等賞」
と
「残念賞」
を事前に設定することで、プロジェクトの方向性が明確になり、潜在的リスクに対応する準備が整います。さらに、失敗した場合でも得られた経験やネットワークを次の挑戦への資産として活用することが可能です。
これにより、どのような結果であっても、プロジェクトが新たな成長の出発点となる仕組みが築かれます。
著:畑中鐵丸