<事例/質問>
妻が子どもを連れて、家を出ました。
紆余曲折があり、今は別居しています。
私は、何とか、妻と子どもを連れ戻そうといろいろ方策を講じましたが、ここにきて、妻の不貞が発覚しました。
ある日、妻側から、離婚したいと言ってきました。
私は、離婚したくありません。
でも、妻の意思は固いようです。
この先、どのような流れになるのでしょうか?
<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>
膠着状態を脱する意向が妻側において強まり、妻側が新たな局面展開を求めてきた、と考えられます。
しかし、即時の離婚が認められない可能性があったため、
「一定程度別居期間を経由したので、(理由はともあれ)修復不可能な状態に来ているから、離婚させろ」
という趣旨のようです。
我が国の裁判制度の建前では、いきなり離婚を裁判で求める手続きは予定されておらず、どんな理由によるものであれ、まずは、調停を前置せよ、というものであり、これを踏襲することになるでしょう。
20年以上前の最高裁判所判例では、
・有責配偶者であっても、離婚請求可能
・未成熟な子がいるなどして、離婚請求することにより、これらの子が不幸になるようであれば、認めない
というものがあります。
とはいえ、実務では、有責云々にかかわらず、破綻状態にあれば、ほぼ離婚を認め、とっとと財産の整理(合弁事業の解消)を終わらせる、という扱いが定着しています。
夫側としては、
・妻側は有責配偶者
・とはいえ、未成熟な子をもつ側が離婚を求めているので、前記最高裁判例の適用は射程外
・破綻の事実(=修復不能認定)さえあれば、離婚が認められる可能性が大きい
・あとは、カネの問題
・判例・実務では、別居時財産の折半が基本
・しかし、「そもそも、妻は有責であるし、破綻もしていないので、離婚は認められない」「仮に離婚が認められても、カネや財産は手元にないし、今苦しいし、無い袖は振れない。あと、寄与度・貢献面からいっても、足を引っ張られてばかりなので、折半はおかしい」
と、対応することになるでしょう。
著:畑中鐵丸