新規事業を進める中で、専門的な知識やスキルを持つ外部のプロフェッショナルに協力を依頼したいと考える場面は多いでしょう。
しかし、社内の従業員に指示を出すのとは違い、外部のプロとスムーズに協力するには、適切な関係の築き方や依頼の仕方が重要です。
では、どのようなポイントに気をつければよいのでしょうか?
1 「とりあえず助けて!」はNG! 依頼内容を明確にしよう
外部のプロに仕事を依頼するとき、あいまいな状態のまま「とにかく手伝ってほしい」とお願いするのは避けるべきです。
プロフェッショナルは、ボランティアではなく、独立した事業者です。
そのため、何を、どこまで、どんな条件で依頼するのかを明確にしなければ、適切なサポートを受けることはできません。
依頼前に整理すべきポイント
(1)仕事内容を具体的に伝える
×「○○の業務をサポートしてほしい」
○「△△のシステム構築を担当し、2カ月以内に○○を完成させてほしい」
(2)目的と期待する成果を明確にする
×「とりあえずやってみる」
○「売上向上のために、この業務改善を実施する」
(3)予算と報酬を明確にする
×「いくらでも払う」「できるだけ安く」
○「○○円の範囲内で依頼したい」
事前にこれらを整理することで、依頼のミスを防ぎ、プロフェッショナルとの信頼関係を築きやすくなります。
2 「丸投げ」は危険! 適切な役割分担を考える
とにかくプロに全部任せようと丸投げするのは、事業の成功を遠ざける原因になります。
たとえば、新規事業の立ち上げがうまくいかず、プロにすべてを引き継いでもらおうと考えてしまうケース。
しかし、内部の意思決定の流れを理解していないプロに、いきなりすべての業務を引き継ぐのは現実的ではありません。
どこまで任せるべきかを決めるポイント
(1)社内でしか対応できない業務と、プロの専門スキルが必要な業務を区別する
(2)プロにしかできない業務に集中してもらう
たとえば、システム設計やマーケティング戦略など、専門知識が必要な業務を任せる
(3)報告・連携のルールを決める
進捗をどのタイミングで報告するか、どのように連携を取るかを明確にしておく
適切な役割分担をすることで、プロの能力を最大限に活かしながら、事業全体を円滑に進めることができます。
3 WIN/WINの関係を意識して依頼する
外部のプロは、困っている会社を助けるために存在しているわけではありません。
彼らも、自分のビジネスとして仕事を請け負っています。
そのため、単に助けてほしいというスタンスではなく、お互いにメリットのある関係(WIN/WIN)を意識することが重要です。
WIN/WINの関係を築くために大切なこと
(1)プロの立場を尊重する
「会社のために手伝ってくれて当然」ではなく、「専門スキルを活かしてもらう」という意識を持つ
(2)報酬は適正に設定する
「できるだけ安くしてほしい」ではなく、「成果に見合った報酬を支払う」という考え方が大切
(3)長期的な関係を意識する
1回の仕事だけでなく、今後も協力しやすい関係を築く
この意識を持つことで、プロのモチベーションが上がり、より質の高い成果を得ることができます。
4 依頼の流れを整理し、スムーズに進める
外部のプロに依頼するときは、最初の段階で流れを明確にしておくことが、スムーズな進行のカギとなります。
依頼の流れの一例
(1)目的を明確にする:「このプロジェクトで達成したい目標は何か?」
(2)業務範囲を確定する:「どこまでを依頼し、どこまでを自社で対応するのか?」
(3)報酬や条件を調整する:「成果報酬なのか? 時間単位の契約なのか?」
(4)契約書を交わす:トラブルを防ぐために、業務内容や報酬を文書化する
(5)定期的に進捗を確認する:報告のタイミングや方法を決める
5 まとめ:外部のプロに依頼するときのポイント
(1)依頼内容を明確にする
(2)「丸投げ」せず、適切な役割分担を考える
(3)プロの立場を尊重し、WIN/WINの関係を意識する
(4)依頼の流れを整理し、スムーズな進行を心がける
適切な依頼の仕方をすれば、事業の成功を大きく後押ししてくれる貴重な存在となります。
これらのポイントを意識して、外部のプロと良好な関係を築いていきましょう!
著:畑中鐵丸