<事例/質問>
私はWEB専門のコンサルタントです。
自分の会社を経営しながら、依頼があるとWEBチームの活性化をサポートしています。
そんな私に、ある会社から業務管理の話が持ちかけられました。
その会社は既存の業務を縮小し、新しい事業の立ち上げを計画中です。
社内の多くの従業員は新事業に回され、既存業務は少数のメンバーで担当することになりました。
私は、経験上、こういう話には
「何か大変なことが隠れている」
ことが多いと、感じています。
だからといって、面談を断るということは、仕事そのものを断ることにもつながり、今後の関係性に影響が出るかもしれません。
何と言って、断ればいいでしょう?
<鐵丸先生の回答/コメント/アドバイス/指南>
「断ること」
を前提に相談されていますが、本当に断るべき案件なのでしょうか?
多くの人は、相談者と同じような状況になると、
「面談=業務の承継」
と考えてしまいがちです。
しかし、この考え方は
「業務の全体像を掴む前に、承継することが前提になっている」
状態であり、無理な決断を強いられることになります。
つまり、
「現状を知る前に、責任を負わされるかもしれない」
と身構えてしまうのです。
しかし、面談は
「業務を承継する前提」
ではなく、まずは
「状況を把握するための機会」
だと考えるべきです。
業務受託にはステップがある
「時は金なり」
という言葉のとおり、多くの人は時間を最適化しようとして、プロセスの統合や省略をしがちです。
しかし、常にそれが正しいとは限りません。
特に業務受託においては、正しい手順を踏むことが重要です。
「アセスメント → 関与条件設計 → 条件交渉 → 受託 → 実施」
この流れを飛ばしてしまうと、後から
「こんなはずではなかった」
と後悔することになりかねません。
業務の詳細を調査しないまま
「面談、即、業務承継」
として進めると、途中で問題が発生したり、委託者・受託者両者の認識のズレが生じたりする原因になります。
たとえば、レストランで
「おまかせコース」
を頼むとき、メニューを確認せずに
「何でも食べられるから大丈夫」
と思ったら、苦手な食材が出てきて困ることがありますよね。
事前に
「どんな料理が出ますか?」
と聞いたら、避けられるはずです。
「やりたくないから、面談もしない」は本末転倒
したがって、
「この業務はやりたくないから、そもそも面談もしない」
という考え方は、適切な判断とは言えません。
なぜなら、業務を正しく評価しない限り、本当にその業務が
「やるべきではないもの」
なのか、
「判断して価値があるもの」
なのかをすることができないからです。
新しい仕事の話が来たとき、
「とりあえず詳細を聞いてみよう」
と思うのと、
「興味がないから話すら聞かない」
と決めるのでは、選択肢の広がりが全く違います。
これは、旅行の計画を立てるときにも言えることです。
「この国には興味がないから、ガイドブックも見ない」
と決めつけてしまうのは、もったいない話です。
実際に調べてみると、予想以上に魅力的な場所があったり、自分の興味に合った観光スポットがあるかもしれません。
仕事の受託も同じで、
「面談=受託確定」
ではなく、
「情報を集めて判断するための機会」
と考えるとよいでしょう。
まとめ
面談は業務を即座に引き継ぐためのものではなく、業務の状況を把握するためのプロセスです。
「やりたくないから面談もしない」
という考えでは、そもそも正しい判断はできません。
まずは情報を集め、正しい判断ができるようにすることが、結果的に正しい選択につながるのです。
著:畑中鐵丸