何かを成し遂げるには、単なる行動だけでなく、しっかりとした
「ゴールデザイン」
が必要です。
ただ目標を決めるだけでは不十分で、それをどう実現し、どのように影響を長く残すのか――この戦略が極めて重要になります。
今回は、ゴール設定の際に押さえておくべきポイントについてお話しします。
1 長く記憶に残る戦略を
まず、大切なのは
「人々の記憶に長く残る仕組みを作ること」
です。
単発の活動では、どれだけ大きなインパクトを残したとしても、時間とともに忘れ去られてしまいます。
継続的に注目を集めるためには、広く、強く、組織的に、系統立った活動が欠かせません。
2 「他人を利用する」とはどういうことか?
大きな目標を達成するには、一人の力では限界があります。
しかし、ただ
「誰かに頼る」
のではなく、
「他人を利用する」
という視点が必要です。
ここで言う
「利用する」
とは、相手にメリットを提供することで、こちらの目的にも協力してもらうということ。
例えば、政治家には
「票」
や
「知名度」、
マスコミには
「視聴率」
や
「話題性」、
学者には
「研究成果」、
弁護士には
「仕事」、
行政には
「権限拡大」
や
「制度成果」
など、それぞれが求めるものがあります。
これらを理解し、自然な形で
「相手が得をする」
構造を作ることが大切です。
その際、
「タカる他人」
ではなく、
「正当なメリットを得て合理的に動く他人」
を選ぶことが重要です。
ここを間違えると、余計なトラブルに巻きこまれたり、活動自体が停滞してしまうこともあります。
3 運動家とは距離を置く
また、活動自体を目的にしている人や、特定のイデオロギーに染まった人(いわゆる「運動屋」)とは一線を画すべきです。
彼らは現実的な成果よりも、自分たちの主義主張を優先しがちだからです。
成功の女神は、リアリストにしか微笑みません。
4 世間の支持を得る方法
世間の支持を得るためには、
「自分の本心をストレートに伝えない」
という戦略も必要です。
人々が何となく感じているモヤモヤした不満や疑問を、言葉や形にして示すことが重要です。
ここで大切なのは、
「自分の言いたいことを言う」
のではなく、
「世間が共感しやすい表現を使う」
こと。
つまり、ミエル化・カタチ化・言語化が求められます。
5 目的のためには手段を選ばない
成功する人は、みな
「人たらし」
です。
時には誤解を利用し、ウソも方便として使います。
目的は手段に優先する――これは、現実の世界で成果を出すための鉄則です。
また、大きなプロジェクトを進めると、必ず足を引っ張る人が現れます。
しかも、それは外部の敵ではなく、内部の
「味方の顔をした人間」
だったりします。
大きな組織を立ち上げるには、内部抗争を乗り越える覚悟が必要です。
考えの違う人間を排除する決断ができないなら、最初から組織作りに手を出さない方がいいでしょう。
6 成功のカギは、明確な未来像と参加者のメリット
成功確率を高めるためには、
「未来の形を明確にし、具体的なメリットを提示すること」
が不可欠です。
ゴールがぼんやりしていたり、関わる人にメリットがなかったりすると、いずれ誰もついてこなくなります。
通常、この境地に至るには10年、20年という歳月がかかります。
その間にエネルギーを使い果たし、取り組み自体が忘れられ、結局は何も残らないというのが一般的な流れです。
しかし、驚くべきスピードで、正しい環境認識ができる人もいます。
政治家、マスコミ、協力団体、学者、弁護士――必要な要素が、驚くべきスピードで揃う場合もあります。
とはいえ、正しい認識があり、条件が揃っていても、最後に必要なのはリーダーの覇気と努力です。
どれだけ準備が整っていても、最終的に動かすのは
「人」
です。
そして、その人が持つ
「情熱」
と
「行動力」
こそが、成功を決定づけます。
だからこそ、最後に問われるのは
「そのリーダーに覚悟と行動力があるか?」
なのです。
著:畑中鐵丸