「学ぶ」
という言葉は、
「マネぶ」、
さらに戻すと、
「真似る」
という言葉に由来します。
すなわち、何かを習得するのは、模範となるべきものを見つけだし、これを正確に模倣することから始まるのです。
話は少し脱線しますが、東大や京大などの難関国立大学に入学するような連中は、創造力が秀でているわけでも、人一倍学問センスがあるわけでもありません。
努力の絶対量についても同様です。
勉強時間が他の大学の受験生と極端に多いか、というと、実はそうでもありません。
東大に合格するような連中は、端的に言えば、模倣が得意なのです。
そして、模倣対象が身近にいるため、あれこれ想像力を働かしたり、情報を集めなくとも、
「どこを、どのように、またどの程度、模倣すれば、東大に合格できるか」
ということを簡単に理解・認識できる機会・環境に恵まれていただけなのです。
東大に多数合格者を輩出するような有名高校は、他校と比べて特別変わった内容の授業をしているわけでもありませんし、カリキュラムが特殊というわけでもありません。
東大進学校と呼ばれる高校は、
「東大に合格するようなポテンシャルをもった人間が多数かつ継続的に集まって集団を形成している」
ということが唯一かつ最大の特徴なのです。
このような集団においては、後輩たちが、先輩たちの行動を間近に観察し、模倣することにより、自然に東大に合格するために必要な努力の質や量や方向性を、一次情報・直接情報として取得できるのです。
そして、その環境こそが、東大合格にもっとも有利な条件となるのです。
このように、何かを学んだり、自分を成長させるためにもっとも必要なのは、教科書でもマニュアルでも反面教師でもなく、
「身近な模倣対象を探し出すことと」
と
「これを正確に模倣するための努力を惜しまないこと」
に尽きるのです。
ビジネスの世界でも、レベルアップするためには、本を読んだり、想像力を働かしたり、資格取得するだけでは全く不十分です。
ビジネスパースンとしての成長は、模範となるべき優秀な人間を見つけ出し、彼ないし彼女の、思想、哲学、構想力、企画力、段取り、行動、管理法を目の当たりにし、これを模倣することによってしか達成できないのです。