00120_「決断の技術」_2_決断の前提環境構築・選択肢を整理する

1、最低二択
「決断」という以上は選択肢がもう既にいろいろとあるはずです。

「選択肢がない」「一択」「これしかない」などという状態というのはあり得ないんですよ。

決断の前提環境構築として、まずきちんと選択肢を抽出して整理しておくべき、ということです。

ブレーンストーミングをして、いろんなアングルからいろんな選択肢を出すべきです。

どんな状況でも、絶対、一択ではありません。
最低二択ですよね。

「何かをする」という決断もあれば、「何かをしない」という決断もありますから、そういう形で選択肢を増やしてください。

2、プロコン分析(プロス&コンス分析、長短所分析)
選択肢を増やしたら、あまりバイアスを掛けずに、その各選択肢ごと、オプションごとに、プロコン分析、すなわち、プロス(長所)とコンス(短所)それぞれを評価する、長短所分析も加えていくべきです。

著:畑中鐵丸

00119_「決断の技術」_1_畑中鐵丸が説く「決断の技術」とは

畑中鐵丸が説く「決断の技術」ですが、一般に書店に並んでるような、「決断力!」みたいな、前向きでポジティブで、普通一般の方々でも使えるようなものではありません。

大体において、皆さんがむかつくような話をいっぱいする毒舌家の畑中ですから、また、金持ち相手の商売やってる畑中鐵丸が語る知的技術ですから、
「経営者・資産家・プロフェッショナル(士業・師業)・これらを目指す野心家に向た、ずるくて卑怯だけども、でもこれ使えるな」
という知的営みを指します。

著:畑中鐵丸

00118_特別セミナー_「決断の技術」を磨き上げる_youtube動画

1、畑中鐵丸が説く「決断の技術」とは

2、決断の前提環境構築・選択肢を整理する

3、「ズルくて、格好悪く、世間体の芳しくない選択肢」も検討する

4、迷い方、他人の意見の聞き方

5、間違ったとき、しくじったときのイメトレ

6、機嫌を良くする

7、「想定が狂ったとき」の想定をしておく

8、まとめ

著:畑中鐵丸

00117_「ベンチャー企業経営者が陥りがちなビジネス・マネー・人生全般における失敗」の傾向と対策_12_聴講者からの質問その4_先生は、刑事事件って受けられます?刑事事件について取り組む場合、どのような対応をされていますか?「畑中鐵丸先生”ならでは”のアプローチ」とかってありますか?

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本コンテンツシリーズは、アジア経営者連合会「ALA経営塾」主催にて、令和3(2021)年3月25日(木)17時30分開始にて行われました、弁護士畑中鐵丸の講演「組織と個人の用心棒、顧問弁護士の使い倒し方・ベンチャー企業経営者特有の失敗の傾向と対策~ベンチャー企業経営者なら皆さん身に覚えがあるビジネスやプライベイトの失敗事例と対策のための”あの手・この手・奥の手”を25年超のキャリアをもつベンチャー弁護士が直接伝授します~」の講演レジュメ及び講演録から編集したものです。なお、本講演内容は、筆者(講師)独自の見解であり、所属組織及びアジア経営者連合会ないしALA経営塾のものとは一切関係ありません。
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刑事事件は、刑事裁判にまでもつれ込んだら、負けです。

99.9%負けますから、こんな不利な土俵で戦うのは、あまりにも愚かです。

もちろん、無罪判決をお取りになったりする刑事「裁判」の名手のような弁護士先生もいらっしゃいますが、その先生でも、「常に、当然に、完全に、何時でも無罪判決を勝ち取れる」ということでもなかろう、と推察します。

要するに、「無罪判決を取れるスキルがある!」などと豪語される弁護士先生(奥ゆかしく、謙虚な私などは、こんな大言壮語は口が裂けても言えません)といえども、無罪が取れなかった「口先ばっかり」「看板倒れ」「約束不履行」のような「失敗事件」もあるとも思われますし、刑事裁判の強烈に高い有罪率(99.9%)を考えれば、単純に考えて、どんなに凄腕の刑事裁判のプロでも表には出さない「失敗事件」も相当の暗数として存在する、と考える方が合理的です。

他方で、そんな私でも、「刑事事件で勝っている」ケースは相当あり、それも結構な割合を占めます。

どうやっているか、というと、「裁判になったら」99.9%負ける、という動かしがたいゲームのロジック、ルールがあるわけですから、このゲームのロジック、ルールを所与として、前提条件をぶっ潰す、というところに注力して、「裁判にしない」「裁判になる手前で事件を潰す」という「やや特殊な刑事弁護活動」を展開するのです。

客観面で争う場面があれば、警察や検察が辟易するまで、徹底的に事実との齟齬を争い、
客観面で争うことが難しくても、主観面(認識面、故意か、過失か、不注意とすら言えない「事故」なのか)を徹底して争い、
客観面・主観面ともに争えなければ、「浪花節(情状面)」で争い、
事件ではなく事故として未立件・立件阻止を目指し、
立件やむなしとしても、不起訴を目指し
つつ、「裁判以前の手前の段階での事件潰し」を画策します。

私や、私が所属する弁護士法人畑中鐵丸法律事務所においては、このような「公判前弁護活動」を中心に刑事事件を取り扱う場合が多いのですが、かなり満足いただいている結果を出しているもの、と自負しています。

他方で、刑事訴訟にまでもつれ込んだら、本当に無罪を目指すのか、あるいは戦略を切り替えて執行猶予や減刑を目指すのか、作戦環境の現実的認識・評価を前提にして、作戦目標について徹底した議論を行い、こちらもしかるべき作戦目標が達成出来るよう、尽力することとしており、「否認事件で無罪判決勝ち取る」と言った劇的な成果はありませんが、当初設定した作戦目標(執行猶予や減刑)は、達成出来、かなり満足いただいている結果を出しているもの、と自負しています。

著:畑中鐵丸

00116_「ベンチャー企業経営者が陥りがちなビジネス・マネー・人生全般における失敗」の傾向と対策_11_聴講者からの質問その3_コロナ禍で労働紛争が増えていると思いますが、相談のトレンドや経営者の対応方針について、特徴のようなものはありますか?

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本コンテンツシリーズは、アジア経営者連合会「ALA経営塾」主催にて、令和3(2021)年3月25日(木)17時30分開始にて行われました、弁護士畑中鐵丸の講演「組織と個人の用心棒、顧問弁護士の使い倒し方・ベンチャー企業経営者特有の失敗の傾向と対策~ベンチャー企業経営者なら皆さん身に覚えがあるビジネスやプライベイトの失敗事例と対策のための”あの手・この手・奥の手”を25年超のキャリアをもつベンチャー弁護士が直接伝授します~」の講演レジュメ及び講演録から編集したものです。なお、本講演内容は、筆者(講師)独自の見解であり、所属組織及びアジア経営者連合会ないしALA経営塾のものとは一切関係ありません。
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著:畑中鐵丸

00115_「ベンチャー企業経営者が陥りがちなビジネス・マネー・人生全般における失敗」の傾向と対策_10_聴講者からの質問その2_令和の時代、コロナの時代に気をつけておくべきこととは、どのようなことでしょうか?

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本コンテンツシリーズは、アジア経営者連合会「ALA経営塾」主催にて、令和3(2021)年3月25日(木)17時30分開始にて行われました、弁護士畑中鐵丸の講演「組織と個人の用心棒、顧問弁護士の使い倒し方・ベンチャー企業経営者特有の失敗の傾向と対策~ベンチャー企業経営者なら皆さん身に覚えがあるビジネスやプライベイトの失敗事例と対策のための”あの手・この手・奥の手”を25年超のキャリアをもつベンチャー弁護士が直接伝授します~」の講演レジュメ及び講演録から編集したものです。なお、本講演内容は、筆者(講師)独自の見解であり、所属組織及びアジア経営者連合会ないしALA経営塾のものとは一切関係ありません。
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1、令和の時代、コロナの時代の「変化」の特徴

令和の時代・コロナの時代では、世の中が変わった。

「想像を絶する、誰もついていけない変化」ではなく、「来たるべきものとして想定されていた合理的でありうべき変化が、予定より早く訪れ、強い圧力で強制される」というタイプの変化。

2、経営スタイルの選択が強制される

企業経営の観点で言うと、経営スタイルの選択が求められるようになった。

「パワープレー(規模を武器にした経営)」か
「スマートプレー(効率性や機動性を武器にした経営)」か
を選択しなければならず、
「どちらとも言えない中途半端なプレースタイル(規模も中途半端なら、効率性や機動性も中途半端)」の企業や組織は、全て淘汰される。

実際、中途半端な規模で、やっていることもオンラインやデジタルを使わない、昔ながらのスタイルで、たいして価値のない商品やサービスしか提供出来ていない、いわば、「あってもなくても会社」「別になかったからといって困らない業態」の企業は、ことごとく淘汰されるか、苦境に喘ぎ、淘汰される状況にまで追い込まれている。

3、選択肢その1:パワープレー

大きな資源(ヒト、モノ、カネ、情報、セールスインフラ等)を用いる。

売上は大きいが、もうけは少ない。

大乗仏教的志向・メジャー志向であり、M&Aを積極的に行い、「スケールの大きさ」によって市場や

社会でのプレゼンスを大きくする。

組織の永続性が何より優先される。
すべてが組織のためであり、組織が何より優先される。
組織における秩序こそが最優先であり、組織防衛のため、法律や外部規範をないがしろにする。
客より、社会より、従業員より、組織の存続が最優先である。
客を犠牲にして、客を食い物にしてでも、組織を存続させる。

こういうパワープレーの企業は、景気がいいときは、「組織防衛優先、客や市場や従業員は軽視・無視」「組織維持存続最優先で、客や従業員は後回し」という矛盾が露呈することなく、市場に受け入れられ、根源的な利害対立構造もお茶をにごしつつ、なんとかやっていける。

ところが、苦境に陥ると、なりふり構ってられない。そして、構造が明確になり、矛盾が露呈し、あちこちで混乱が生じやすくなる。

もちろん、規模が大きいために「こんなでかい会社なら潰れないだろう」という妙な安心感(楽観バイアス)が働く成果、規模が大きいだけに、潰れると社会的影響が大きいせいか、銀行も資金調達に協力してくれる。

しかし、客の都合より自分の都合を優先してしまう体質があるため、あるいは、経営幹部が「天動説的な自己中心・組織中心の発想」から抜けきれず、敏感な客のニーズの変化や商売の環境変化に機敏に対応出来ず、後手後手となる。すなわち、安易な値上げ、安易な首切りに基づく士気低下とサービス悪化、その結果による、客離れによる負の循環を起こしてしまい、さらなる苦境に陥る。

規模が災いして、売上が減るほどにコストが減らず、一気に、凄まじい額の赤字に傾く。

従業員に対しても、手厚い対応をしていると組織の存続に関わるので、すぐさまリストラに着手する。

パワープレーは、「信用によるレバレジで資源を膨らませると同時にリスクを大きくする」という「信用売買の株式投資」のようなものであり、景気がよく、あるいは思惑どおりの場合はいいが、新型コロナウィルス感染拡大といった想定外の負の事象が発生すると、規模の大きさが災いし、全てが裏目に出て、苦境にあえぐ結果になる。

とはいえ、規模があると、規模による安心感が得られ、また、資金調達も(中小零細の場合に比べると)比較的容易なせいか、すぐにはつぶれないが、構造的には奈落の底に向かって下り坂を転げ落ちる。

4、選択肢その2:スマートプレー

スピード、スモール、スマート、ソフィスティケイテッドといった価値観を優先し、スケールは追求しない。というより、スケールはコスト上昇を招く、諸悪の根源と考える。

スケールが必要なら、組織拡大ではなく、AIやRPAやDXやアウトソース、さらには、事業の再定義を行って、「組織や資源のスケールアップ」を伴わない事業拡大を目論む。

小乗仏教的志向、インディーズ志向であり、メディア戦略やネット戦略を積極的に行い、「影響力の大きさ(フォロワー数)」によって、市場や社会でのプレゼンスを大きくする。

チームメンバー(といっても経営幹部)個人の都合が最優先され、組織は、単なる道具であり手段。
「個人のため、個人として、個人がやって楽しいか」が活動の最優先課題。

全て個人の感受性が優先される。

組織は二の次であり、客の動向を気にするし、また、客に目を配るだけの余裕や冗長性があるため、組織の存続以前に、客への還元、客との対話、客との良好なリレーションを重視する。

規模がないため、この点で脆弱性は否めないが、身軽で手軽なため、コストダウンへの耐性もあり、危機に見舞われてもしぶとく生き残れる。

もともと、市場や客との対話を重視し、市場や客の動向を気にするような、地動説的知性があるため、変化の萌芽を敏感に察知し、柔軟に環境に適応出来る。

総じて、自己資本が厚く、不況への抵抗力が強く、生き残ることが出来る。

5、パワープレーVSスマートプレー

パワープレーを志向する企業は、いわゆる、重厚長大と呼称される典型的な日本企業のイメージである。

数万人、企業によっては数十万人という人員を抱えた、国家に匹敵する膨大な資源を背景に企業活動を展開する組織がこれに該当する。

スマートプレーを志向する企業は、具体的には、アップル、ファーストリテイリング、任天堂、キーエンスといった企業である(これら企業も十分大きいですが、志向としてはスマートプレーヤー)。

これらのスマートプレーヤーは、「ファブレス」というキーワードでくくれる。

ファブレスとは、工場(fabあるいはfabrication facility)を持たない(less)ことから生まれた造語ですが、「工場を持たない」経営スタイルを指す。

「製造業を営みながら、製造のための施設を自社では保有しない経営上の方法論」を「ファブレス経営」と呼んだりします。

行うのは、製品に関する企画や開発だけ。

企画や開発が終了し、量産フェーズに入ったら、商品の製造については外部の向上に委託しますが、このような仕組みで活動する企業は「ファブレス企業(またはファンドリ)」と呼ばれる。

もちろん、上記のような巨大なスマートプレーヤーもいますが、他にも、「オーケストラ型」ではなく、「ロックバンド」のような、余剰人員や不要機能を削ぎ落とした少数精鋭ながら巨大な影響力を志向するベンチャー企業もたくさん存在する。

7、経営者の「パワープレー」信仰(バイアス)

言うまでもなく、価値序列としては、今後、「スマートプレー」がどんどん価値を増す。

他方で、「経営者一般」特に「昭和や平成の感覚が抜けきらない、古い思考の経営者」は、スマートプレーを忌避、嫌悪し、パワープレーを強く志向する思考偏向(バイアス)に汚染されやすい。

これは、「スマートプレー」にまつわるネガティブなイメージがあるから。

すなわち、「経営者一般」特に「昭和や平成の感覚が抜けきらない、古い思考の経営者」にとっては、
「スマートプレー」=「中小零細志向、閉塞感、縮小均衡、無名感、忘れ去られる、埋没する、ジリ貧、未来がない」
というネガティブな連想が働き、芳しからざる印象がある。

故に、「経営者一般」特に「昭和や平成の感覚が抜けきらない、古い思考の経営者」は、すべからく、パワープレー志向(偏向)・メジャー志向(偏向)に陥りがち。

8、パワープレーを志向した挙げ句、結局中途半端になって、失敗するパターン

パワープレー志向(偏向)・メジャー志向(偏向)が好況期には問題が露呈しないが、不況期になると途端に脆弱性を露呈することは、既述のとおり。

加えて、パワープレー志向(偏向)・メジャー志向(偏向)の致命的欠点は、パワープレー志向(偏向)・メジャー志向(偏向)の場合、常にトップシェア(一番手)のみが市場で認知されるが、二番手以下に転落すると、市場での認知が急速に低下することが知られている。

そのため、一度、パワープレー志向(偏向)・メジャー志向(偏向)のゲームに参戦すると、際限なき資源消耗・体力勝負によるトップシェア獲得競争を強いられるが、中途半端な規模で参戦しても、資源が追いつかず、永遠に二番手以下となり、好況期であっても、さほどのベネフィットが得られるわけではない。

結局、中途半端のままで、最終的には、資源不足のため、破綻してしまう運命にある。

9、「スマートプレー=中小零細志向、閉塞感、縮小均衡、無名感、忘れ去られる、埋没する、ジリ貧、未来がない」のか?

「経営者一般」特に「昭和や平成の感覚が抜けきらない、古い思考の経営者」の思考の偏向的習性とは違い、現実には、
「スマートプレー」「中小零細志向、閉塞感、縮小均衡、無名感、忘れ去られる、埋没する、ジリ貧、未来がない」
という公式が成り立つ。

さらに言えば、
「スモールでスマートだが、プレゼンス(存在感)としてはメジャー級」
という秩序破壊型プレースタイルが登場したのが令和・コロナの時代。

キーワードとしは、IT、DX、ネット、youtube、インスタ、フォロワー、SNS、検索順位、露出。

ネット空間やSNSにおいて、中小零細が突如として大企業に匹敵する影響力を持つことが可能となり、ビジネスにおけるリモートやオンラインの一般化が拍車をかける。

ただ、誰でも、「スモールでスマートだが、メジャー」という秩序破壊型プレースタイルを駆使できるわけではない。

知性とセンスと進取の気性が求められるし、昭和や平成の残滓が堆積する古い頭の経営者にとっては、難しいし、思考転換できない(スキルがないし、知性もないし、センスもない)。

結局、昭和や平成の思考や感受性の残滓が堆積する古い頭の経営者は、「知性とセンスと進取の気性が求められるスマートプレー」をギブアップし、昔ながらのメジャー志向を選択してしまう(こっちの方が、楽で、わかりやすく、バカでも出来るから)。

そして、結局、体力勝負・消耗戦に陥り、資源が続かず、中途半端のまま経営破綻を迎える。

10、推奨されるべきスタイル:「パワープレー」志向(偏向)を捨て去り、「スマートプレー」を研究し、実践する

そのために、思考の柔軟性・開放性、新規探索性、過去の成功例の放棄を行い、新しいゲーム環境に慣れていくことを、一刻も早く行う。

著:畑中鐵丸

00114_「ベンチャー企業経営者が陥りがちなビジネス・マネー・人生全般における失敗」の傾向と対策_9_聴講者からの質問その1_中小企業の海外M&Aについて成功例をご教示いただきたい

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本コンテンツシリーズは、アジア経営者連合会「ALA経営塾」主催にて、令和3(2021)年3月25日(木)17時30分開始にて行われました、弁護士畑中鐵丸の講演「組織と個人の用心棒、顧問弁護士の使い倒し方・ベンチャー企業経営者特有の失敗の傾向と対策~ベンチャー企業経営者なら皆さん身に覚えがあるビジネスやプライベイトの失敗事例と対策のための”あの手・この手・奥の手”を25年超のキャリアをもつベンチャー弁護士が直接伝授します~」の講演レジュメ及び講演録から編集したものです。なお、本講演内容は、筆者(講師)独自の見解であり、所属組織及びアジア経営者連合会ないしALA経営塾のものとは一切関係ありません。
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中小企業のほとんどは、海外M&Aで成功していません。というより、死屍累々といった感があるほど、ことごとく失敗しています。

その失敗の傾向や原因については、

企業法務部員として知っておくべき海外進出プロジェクト1~2

企業法務部員として知っておくべき海外進出プロジェクト3~12

にまとめています。

一部、引用し、転載しておきます。

引用開始==================>
まず、そもそも、なぜ、中国やその他アジア各国に進出するのでしょうか?
その経済的意味はどこにあるのでしょうか?
ここで、倫理や道徳や綺麗事を捨象して、シビれるくらい、シビアに、純経済的に、合理的に目的考察をしてみます。
「アジア進出の動機として、生産拠点を日本からアジアにシフトする、ということを考える企業」
においては、アジア進出のメリットは、ずばり、
「低賃金」
です。
すなわち、
「現地の方を安い給料で、コキ使えるから」
というのが進出の理由として推定されます。
だからこそ、
「最近は中国の人件費が高くなったからベトナムがいいぞ」
「いや、ベトナムも高いから、ミャンマーとかカンボジアだぞ」
といった、話が聞こえてくるのです。
要するに、生産拠点をシフトする形で中国に進出する企業は、別に、
中国が好きとか、
民間レベルの日中友好を進めたいとか、
本場の中国料理が好きとか、
中国の方々が大好きとか、
4000年の歴史に敬意を感じたから、
といった動機ないし目的ではなく、その真の目的は、
「(日本人とくらべて相対的に)安くて、コキ使える無尽蔵の労働力がある」
と考えて、進出するのです。
だから、中国より安いところがあると、経済的判断において、
当該「さらに安い人件費」
を求めて、進出先を変更したりするのです。
かつて、植民地支配の時代に、欧米列強が、(当時の彼らからみて)劣等民族であった現地人を、奴隷労働力(植民地時代の欧米列強の一般的認識としてです)として廉価に活用できるから、という理由で、アジアアフリカ諸国や中南米において生産活動を行っていたことがありました。
生産拠点を日本からアジアにシフトすることを目的とする企業の進出動機は、
「倫理や綺麗事を捨象した、純経済な観察における目的」
として考察すれば、要するに、これと同様であり、現地の人的資源を経済的に有利な条件において生産資源として活用したい(からアジアに進出する)、というのが、その目的ないし真の動機として捉えられます。
また、別の企業は、進出するアジアの国を、自社の商品を消費してくれる巨大市場とみて、進出するところがあるかもしれません。
この点についても、かつて、植民地支配の時代に、主に商品を販売することを企図した欧米列強の企業がアジア各国に進出したケースと同様、(当時の彼らからみて)文明レベルの劣る民族に対して、
「現地では作れない、現地の方の消費欲求を掻き立てる圧倒的な価値と希少性を有する商品・サービス」
を提供することによって、母国では考えられないほど容易に、市場争奪や市場支配が可能だったからです。
現代の日本で、販売拠点をアジアに設けることを目的とする企業の進出動機も、建前や倫理・道徳を一切捨象して純経済的に突き詰めれば、これと同様、母国とくらべて有利な競争環境を求めて効率的に稼ぎたい(からアジアに進出する)、というのが、その目的ないし真の動機として捉えられます。
無論、アジアに進出する企業は、こんな
「時代錯誤も甚だしい下劣な言い方」
で、その動機や目的を語ることはなく、綺麗事や建前として、ジェントルでエレガントに響く進出目的(相互互恵による国際的な協調、対等な真のパートナシップによる相互発展など)を騙り、ディスインフォメーション(情報偽装)します。
「この種の韜晦を、いけしゃあしゃあとカマし、実際の目的ないし動機は、植民地時代の欧米列強の企業のものと同様のものを強固に持ち、これを、SMART基準に落とし込んで、部下に的確な指示を出し、シビアに当該目的を達成する」
という企業は、まず、間違いなく進出に成功します。
他方で、本音と建前がよくわからない状況で頭脳の中でカオスとなっている(さらにいえば、「国際進出をした国際的な企業の国際的な社長さん」とみられたい、などというくだらない意地や見栄のため、進出自体が自己目的化しているような)企業については、アジア進出の目的を見失い、確実に失敗します。
<==================引用終了

引用開始==================>
まず、
「海外進出を任せるに足るリーダー(責任者)」
のスペックを議論する前提として、当該リーダー(責任者)をタスクデザインを明らかにする必要があります。
(「海外の国や人々や各団体と仲良くなって、国際交流する」などといった活動とは真逆の、)「国内事業展開より数倍、数十倍困難な海外進出を経済的に成功させる」
ためのタスクを、(四半世紀ほどにしかならない私の拙い実務家経験を基礎に)合理的に設計してみますと、

1 現地の人間になめられないような制度やカルチャーを現地法人に浸透させ、確立する
2 強烈な強制の契機をはらんだ圧倒的なオーラを醸し出し、徹底して高圧的な支配を実行する(とはいえ、植民地時代ではないので、支配的な要素はおくびにも出さないように努め、極めてジェントルかつエレガントに、スマートな形で実効的支配を展開する)
3 俗悪・無作法・怠惰を許さない、徹底した管理を敷く。
4 客観的基準と合理的観察によるエゲつない能力差別を行ない、論功行賞を明確に実施し、ルール違反者に対する過酷な懲罰を徹底して行う
5 独禁法を愚弄する精神で、競争者の存在を否定し、あるいは新規参入の目を容赦なく摘む形で、市場を迅速かつ圧倒的に支配する(つもりで頑張る。実際は法令には触れないように細心の注意を払う)。
6 このような市場支配(を目指した、法に触れない経済活動)を、大量のカネ、物量を背景に、高圧的に、スピーディーに、SMART基準にしたがって、効率性を徹底追求して行う

というものになろうかと考えられます(もちろん、コンプライアンスは無視ないし軽視できませんので、諸外国の法令を含めたあらゆる法令に違反ないし抵触しないよう、細心の注意を払うべきことは大前提となります)

(中略)

敷衍しますと、
「海外進出を任せることのできるリーダー(責任者)」
の人材イメージとしては、
1 「海外進出を経済的に成功させるために必要となる、いずれも極めて達成困難な、各タスク」 を、命を賭して、完全に成し遂げる強靭な意志と、
2 これら各タスクを、一定の冗長性(リスクや想定外に常に対応しうるための時間的・経済的・精神的冗長性)を確保しつつ、涼しい顔をして、平然かつ冷静にやり抜けるだけの知識・経験・スキルと、
3 「成功時に得られる、鼻血が飛び出るくらい、旨味があるインセンティブ」を設計して、臆面もなく要求するだけの豪胆さと、当該インセンティブに対する健全な欲望と、
4 声一つ発することなく、被支配者が自然とひれ伏す強烈なオーラと、
5 悪魔の手先のような性根と、
6 遂行しているタスクの毒々しさを全く感じさせることなく、常に、ジェントルかつエレガントに振る舞える典雅さ、
といった各スペックを漏れなく実装した人材、ということになろうかと考えられます。

上記の
「海外進出を任せることのできるリーダー(責任者)」
の人材イメージって、皆さんに、どこかでみたような、そんな既視感が生じませんでしたでしょうか。

すなわち、上記の
「海外進出を任せることのできるリーダー(責任者)」
の人材イメージを受けて、皆さんにおいては、
「これって、まるで、東京でたまにみかける、『日本人を蔑視して、舐め腐っていて、死ぬほど高額の給料をもらって、唖然とするくらいいい暮らしをしていて、クソ忌々(いまいま)しい、反吐が出るほど、イヤ~な感じの、外資系企業の幹部』そのものじゃないか!」
といった感じを抱かれたのではないでしょうか。

そして、そういう
「東京でたまにみかける、『日本人を蔑視して、舐め腐っていて、死ぬほど高額の給料をもらって、唖然とするくらいいい暮らしをしていて、クソ忌々(いまいま)しい、反吐が出るほど、イヤ~な感じの、外資系企業の幹部』」
によって経営されている外資系企業は、どの企業も、順調に儲かっているのではないでしょうか。

こういう言い方をすれば、帰納的に理解・納得いただけるのではないか、と思います。
<==================引用終了

著:畑中鐵丸

00113_「ベンチャー企業経営者が陥りがちなビジネス・マネー・人生全般における失敗」の傾向と対策_8_「人生」という「プロジェクト」を、より良き方向に改善し、ありうべきリスクを逓減させる方向で、制御(マネジ)するために_リテラシーの力で解決

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本コンテンツシリーズは、アジア経営者連合会「ALA経営塾」主催にて、令和3(2021)年3月25日(木)17時30分開始にて行われました、弁護士畑中鐵丸の講演「組織と個人の用心棒、顧問弁護士の使い倒し方・ベンチャー企業経営者特有の失敗の傾向と対策~ベンチャー企業経営者なら皆さん身に覚えがあるビジネスやプライベイトの失敗事例と対策のための”あの手・この手・奥の手”を25年超のキャリアをもつベンチャー弁護士が直接伝授します~」の講演レジュメ及び講演録から編集したものです。なお、本講演内容は、筆者(講師)独自の見解であり、所属組織及びアジア経営者連合会ないしALA経営塾のものとは一切関係ありません。
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1、拙著「ヤヴァイ会社の死亡フラグ10」で学ぶ

拙著「ヤヴァイ会社の死亡フラグ10」では、「ベンチャー企業経営者失敗あるある」がたくさん書かれていますが、そこでは、
【ビジネス(仕事)】のアップグレード、
【ビジネス(仕事)】のセキュリティ、
【財産(マネー)】のアップグレード、
【財産(マネー)】のセキュリティ(保険、節税、投資詐欺、金融破綻、仮想通貨流出等)
について、リテラシー形成に役立つようなヒントが書かれています。

2、拙著(但し、監修)「融資地獄」で学ぶ

拙著(但し、監修)「融資地獄では、特に、第4章以下において、
【ビジネス(仕事)】のセキュリティ
課題として、借金まみれになった場合の「危機脱出ノウハウ」が多数書かれています。

3、畑中鐵丸アーカイブスで学ぶ

畑中鐵丸アーカイブスは、
本サイトのご紹介で述べましたとおり、

地に足をつけて、現実的で具体的に「笑いが止まらないくらい、楽しく、憂いなき人生を送る」を実現するためには、【ビジネス(仕事)】、【財産(マネー)】、【健康】、【暮らし】及び【子供】といった各分解された要素分野において、それぞれアップグレードに努め、セキュリティを万全にしていけば、結果として、「豊かな人生を、楽しく憂いなく送れる」ということにつながります。

こういう観点から、

・【ビジネス(仕事)】のアップグレード(商品やサービスの改善・開発、事業拡大、新規事業創出、海外進出、株式公開、M&A等)
・【ビジネス(仕事)】のセキュリティ(法務強化、ガバナンス、コンプライアンス、契約処理、争訟対応、労務問題、税務問題等)

・【財産(マネー)】のアップグレード(株式投資、投資信託、不動産投資・REIT、先物・FX、新興国投資等)
・【財産(マネー)】のセキュリティ(保険、節税、投資詐欺、金融破綻、仮想通貨流出等)

・【健康】のアップグレード(アンチエイジング、ダイエット、体幹トレーニング、レーシック、AGA等)
・【健康】のセキュリティ(がん、脳梗塞・心筋梗塞、糖尿病、緑内障・白内障、動脈瘤等)

・【暮らし】のアップグレード(不動産、海外旅行、高級ホテル、美食、ショッピング、社交・嗜み・趣味、会員制クラブ等)
・【暮らし】のセキュリティ(相続紛争、離婚紛争、親族間不和、隣人紛争、事件・事故、SNS炎上、デマや噂の被害、名誉毀損等)

・【子供】のアップグレード(幼小お受験、中学・高校受験、大学受験、大学院受験、留学、就職、資格取得等)
・【子供】のセキュリティ(いじめ被害、いじめ加害、悪友との関係処理、問題教師、通学セキュリティ、学校事故、課外活動・スポーツ事故、事件・事故被害、ひきこもり、成績不振・学習意欲減退等)

といった形でテーマを分類して設定し、各テーマに沿う形で、畑中鐵丸がこれまで著した著作や評論や随想や雑文の全てを整理し、公開する目的でこのサイトを開設しました。

お金持ちや小金持ち、あるいはこれらを目指す野心家の方々にとって、本当に役に立つ、
「志は低いが、シビれるくらい役に立つ、インスパイヤリングな処世訓や知見や警句」
を発信し続けたいと考えています。

と書きましたとおり、上記各カテゴリーにおける人生の目的設計や課題発見、さらに、目的達成や課題対処のためのヒントを述べています。

一例を挙げますと、

離婚が頭によぎったら、まずは読んでおくべき「離婚にまつわる迷信・都市伝説」シリーズ

4、その他

1)「仕事や人生や社会生活において本当に大切なこと」は本に書いていないし、学校でも教えてくれない

世の中、
「身過ぎ世過ぎ」
のために本当に大切なことほど本や新聞に書いていないし、テレビでも放送しない。

学校の先生や親も教えてくれない。

というか、
「『身過ぎ世過ぎ』のために本当に大切なこと」
を学校の先生やサラリーマンや専業主婦をやっている親は知らない。

そういうことを知っているなら、教師やサラリーマンや専業主婦などではなく、もっと別の人生を歩んでいるはず。

「世の中で、本当に大事なこと」
がほんの少し、手がかりのようなことが、たまに本に書いてあることもあるかもしれないが、腹が立つくらいわかりにくくしか書いていない。

2)「人生や仕事の『切所(せっしょ)』」で役に立つのは、「キレイゴト」ではなく「リアリティ」

「仕事や人生の大事な局面」
で、
「常識や、学校の先生や親に教えられたことや、テレビや新聞で言っていること」
にしたがうと、たいてい失敗する。

「常識や、学校の先生や親に教えられたことや、テレビや新聞で言っていること」
は理想であり、キレイゴトであり、耳障りはいいが、役に立たない。

「仕事や人生の大事な局面」
は、
「キレイゴトではどうにもならない、圧倒的な現実」
が大きく立ちはだかり、
「ルール軽視の何でもあり」
の状況において、
「あの手、この手」だけでなく、「奥の手」、さらには(机上戦略における想定として)「禁じ手」も、また、「裏技、寝技、小技」に加え、(机上戦略における想定として)「反則技」も
捻り出し、あるいは想定しながら
死にものぐるいで生き残るような場面。

「会社や仕事の大事な局面」
では、
「陳腐な常識」

「リアリティの乏しいキレイゴト」
が通用しないし、常識やキレイゴトにしたがった処理をしたら、たいてい無残に失敗し、ピンチに陥る。
ピンチはチャンスになどならず、大ピンチになり、大ピンチは当然のように破滅に移行する。

常識とは、物心つくまでに身につけた偏見のコレクションであって、戦理とは真逆の有害な誤謬であることが多く、窮地に陥るのも、当然といえば当然。

3)「ピンチはチャンスに」なんて絶対ならない

失敗したら、ピンチになったら、ピンチは決してチャンスになどならない。

「ピンチ」

「大ピンチ」になり、
「大ピンチ」

「破滅」になるだけ。

ピンチになったら、敗北は必至・所与とし、とっととダメージコントロール(損害軽減措置)の検討を始め、素早く果断に実行するのが優れた実務家。

4)バカほど「一発逆転」を信じる

現実の社会においては、
「一発逆転」
というのはない。

ほぼ無い、というか、まったく無い。

特に、仕事や人生の切所において、
「一発逆転」
は、絶対無い。

たまに、
「大事が小事に、小事が無事になり、無事になって元に戻る」
という僥倖に恵まれることがあるだけ。

そして、
「大事を小事に、小事を無事にし、無事になってデフォルトの状態に回帰させる」
程度の成果を挙げるために、途方も無い時間とコストとエネルギーを費やし、かつ、辟易するくらい真面目に取り組まないといけない。

「会社のお金を使い込んでしまい、損失を回復しようとして、先物に手を出す」
という
「一発逆転策」
や、
「粉飾を誤魔化すために、さらに、大掛かりな架空取引をでっち上げる」
という
「一発逆転策」
など、
「危機打開のために、考え出された、創造性豊かな一発逆転策」
なるものは、そのほとんどが、単なる法令違反や犯罪行為(しかも、よりスケールアップした別途の法令違反や犯罪行為)であったりする。

5)「字を読めること」と、「紙背まで読み取ること」とは別

弁護士その他の専門家は、
「字を読む」プロ
かもしれないが、
「字を読めること」
と、
「紙背まで読み取ること」
とは別。

字を読めても、紙背が読めない、といった手合もいる。

憲法14条は、法の下の平等を保障している。

紙背を読めば、
「法の下の平等は保障するが、逆に言えば、経済的不平等を容認している」
ということ。

これは、単なる言葉遊びやレトリックではない。

紙背にこそ、絶対的本質が書かれている。

「経済的平等」

「結果の平等」
を徹底して志向した、かつてのソビエト連邦は、国家規模で破綻した。

我が国や西側先進諸国は、
「経済的不平等」
を、断固として、徹底的に、容認し、保障し、死守してきたし、今後もそうする。

憲法14条が体制として保障する国家の姿は、紙背にこそ、その本質が描かれている。

これが、紙背を読む、という意味。

そして、こんなことは、法学部で習わないし、司法試験でも聞かれないし、司法研修所でも習わないし、一般の法律家もよく判っていない。

知っているのは、最高裁判事その他、一部のエスタブリッシュメントだけ。

6)「知性・知恵」と、「情報・データ」は別もの

「正確無比なデータ」

「詳細な情報」
よりも
「リテラシー」
が、
「瑣末な議論」
より
「大局」
「本質」
が、重要。

「記憶力」
すなわち
「データや情報の蓄積と効率的な検索という機能を実装して、誰が解いても正解が1つの自然科学上の命題・課題を間違いを犯すことなく、忘却せず、正確に、即座に解答する能力」
は今や無価値。

Googleやコンピューターといった記憶装置・演算処理装置は、確かに、便利。

原始人や未開の部族はさておき、スマホを持っていてGoogleで検索できるだけの人間を、ただ、スマホを持っていて検索できるから、といって
「記憶力のある物知り」
として尊敬したりしない。

クイズ東大王も、テレビで観ていて暇つぶしにはなるが、人生や仕事の大事、会社の生き死にに関わる大事を相談しようとも思わない。

ハサミは便利だが、ハサミを尊敬するバカはいない。

「問題を見出し、問題を設定し、課題を創出できた上で、Googleの特性を理解し、Googleを活用して、問題解決手法を生み出したり、それを金儲けに利用したりする人間」
は知性があり、価値がある。

大事なもの・重要なもの・価値あるものは、
「記憶力に長けた試験秀才や物知り」
ではなく、
「メタ認知(自己客観視・俯瞰視)が出来、問題を発見・特定し、問題を解決して、価値を創造できる」
ような本質的知性や根源的スキルを実装した人間。

「覚えること、記憶すること」

「正解がある問題で、正解を正確に答えること」
は、人生やビジネスや企業の問題解決能力としては、ほぼ無意味で無価値。

分厚い法律書をみても、個別具体的な企業活動や取引において法的課題を抽出する方法は、そこに書いていない。

当然ながら、分厚い法律書を正確に記憶した法律バカに、目の前の課題対処を聞いても、何も答えられない。

株主から提訴要求通知が内容証明郵便で突如送られてきてパニックに陥った企業が、
「会社法で『優』を取った法学部の学生」
に、
「こんなの来たんだけど、任せるから何とかして」
と言って対処をお願いした場合、どうなるだろうか?

この
「試験秀才の21歳の学生」
は、戦略的・効果的に対処して、企業を救うことが出来るだろうか?
それとも、歯が立たず呆然とするだけだろうか?

7)知性とは懐疑能力・創造的であり、実務知性とは結果を出せるまで合理的試行錯誤やゲームチェンジを継続する執着心と同義

知性とは、懐疑する知的能力や想像する知的能力のことであり、問題を予知し、問題を発見し、問題を特定・具体化し、展開予測をし、ストレステストを実施する能力を指す。

東大の二次試験は、この文脈の知性を試している。

東大に合格する人間は、予測をし、想像し、予測されたリスクに対して、準備をし、手当をしておく。

平たく言えば、「ヤマを張」っている。

ただ、東大に合格する人間の場合、「張るヤマ」の範囲が、膨大で、粗漏が皆無。

だから、合格する。

当然のように合格するのである。

また、実務的知性とは、
「あの手・この手・奥の手・(机上想定としての)禁じ手・裏技・寝技・小技・(机上想定としての)反則技」
を捻り出し、あるいは想定し、ゲームチェンジを含めた合理的試行錯誤を構築・遂行し続け、
「何とかする」
「結果を出す」
まで往生際悪く執着するために働かせる知的能力や精神作用である。

8)リスク管理の肝は、リスクの発見・特定

企業法務とはリスク管理。

リスク管理で一番重要なことはリスクの発見と特定。

ほとんどの企業はリスクの特定はおろか、発見すらできていないし、楽観バイアスや正常性バイアスに罹患し、気付いてすらいない。

日本企業のほとんどは、課題抽出が圧倒的に出来ていないので、課題対処のはるか以前の段階で、躓いているのが現状。

9)「生兵法“務”」は大怪我のもと

「生兵法“務”」は大怪我のもと。

迷ったら聞く。

迷ったら聞ける環境を作っておく。

但し、聞く相手と聞く内容と聞き方を間違えないこと。

法務の失敗は、自分が出来ると思って自分の常識で処理して失敗するか、知識も経験も能力もない人間に頼って失敗するか、のいずれかがほとんど。

10)他人も、自分も、信じない

人間関係であれ、組織間の関係であれ、国家間の外交関係であれ、
「正しい関係」
「ありうべき関係」
構築に最も重要なことは、
「相手をとことん信用しないこと」。

上司であれ、社長であれ、弁護士であれ、裁判官であれ、学者であれ、親であれ、友達であれ、身内であれ、他人はすべて信じない。

自分以外の他人は一切信じず、他者の悪意を予測しつつ、他者の愚考や愚行を想定しつつ、睨み返されても不愉快な予測や想定を披瀝し、これに対する備えを提案し、後で行う喧嘩を先にやっておく。

最初に「目先の波風」
を立てておかないと、後から大津波に襲われる。

さらにいえば、最も優れた人間は、自分自身ですら信じない

11)「創造的な仕事」をするためには、「陳腐な形式や退屈なモラルやくだらない常識」は邪魔、すごく邪魔、非常に邪魔、迷惑なほど邪魔

大きなビジネスや新規のプロジェクトは、フツーのことをフツーにやっていては成功などしない。

トラブルや想定外の連続の事柄が次々生じる。

例外事象の対処には、常識や良識やモラルや過去の成功体験は一切通用しない。

学校で習ったり、親から教えられた、キレイゴトや理想論も通用しない。

というか、圧倒的な現実に立ち向かうには、キレイゴトや理想論に従うと、却って死期を早めるだけ。

「世間で評価される仕事というのは、あらゆる形式やモラルを排して遂行されているもの」
である。

12)さらにさらに

さらに、興味があれば、畑中鐵丸が執筆したシリーズコンテンツ
苛酷な社会を生き抜くための「正しい非常識」
が参考になる(かもしれないし、ならないかもしれない)。

著:畑中鐵丸

00112_「ベンチャー企業経営者が陥りがちなビジネス・マネー・人生全般における失敗」の傾向と対策_7_「人生」という「プロジェクト」を、より良き方向に改善し、ありうべきリスクを逓減させる方向で、制御(マネジ)するために_カネの力で解決

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本コンテンツシリーズは、アジア経営者連合会「ALA経営塾」主催にて、令和3(2021)年3月25日(木)17時30分開始にて行われました、弁護士畑中鐵丸の講演「組織と個人の用心棒、顧問弁護士の使い倒し方・ベンチャー企業経営者特有の失敗の傾向と対策~ベンチャー企業経営者なら皆さん身に覚えがあるビジネスやプライベイトの失敗事例と対策のための”あの手・この手・奥の手”を25年超のキャリアをもつベンチャー弁護士が直接伝授します~」の講演レジュメ及び講演録から編集したものです。なお、本講演内容は、筆者(講師)独自の見解であり、所属組織及びアジア経営者連合会ないしALA経営塾のものとは一切関係ありません。
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私などは、部下や後輩などに、「千里の道はジェット機で(制作/著作:井藤公量弁護士)」といいます。

何事も知恵と努力で解決するのは、学生の間だけです。

社会に出たら、カネの力で、一瞬で解決すべきです。

特に、カネをもっていたら、カネで解決すべきです。

カネというのは、問題を解決するためにこそ使うべきですから。

問題を解決する際に、カネをケチるのは愚かです。

事故にあって緊急手術が必要な際、手術代を値切るようなアホな真似はおすすめしません。

もちろん、値切っても、外科医は、交渉に応じてくれるかもしれません。値切った費用で了解してくれるかもしれません。

ただ、その値切られた外科医が、本気を出してくれるかどうかは、わかりませんし、そんな危険な真似、絶対すべきではありません。

著:畑中鐵丸

00111_「ベンチャー企業経営者が陥りがちなビジネス・マネー・人生全般における失敗」の傾向と対策_6_「人生」という「プロジェクト」を、より良き方向に改善し、ありうべきリスクを逓減させる方向で、制御(マネジ)するために_因数分解的整理と対処TIPS

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本コンテンツシリーズは、アジア経営者連合会「ALA経営塾」主催にて、令和3(2021)年3月25日(木)17時30分開始にて行われました、弁護士畑中鐵丸の講演「組織と個人の用心棒、顧問弁護士の使い倒し方・ベンチャー企業経営者特有の失敗の傾向と対策~ベンチャー企業経営者なら皆さん身に覚えがあるビジネスやプライベイトの失敗事例と対策のための”あの手・この手・奥の手”を25年超のキャリアをもつベンチャー弁護士が直接伝授します~」の講演レジュメ及び講演録から編集したものです。なお、本講演内容は、筆者(講師)独自の見解であり、所属組織及びアジア経営者連合会ないしALA経営塾のものとは一切関係ありません。
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人生における改善・発展のプロジェクトマネジメントや、リスクのマネジメントを行うために必要なことは何でしょうか?

それは、あったりまえのことですが、人生における、成長発展のゴールや課題やリスクを、漠然とした形ではなく、「しびれるくらいクリア」に認識することです。 

では、人生における、 成長発展のゴールや課題やリスクをどのように見つけていけばいいのでしょうか?

何をどのように改善し、どのようなリスクやしくじりを想定し、どのように備えれば、「笑いが止まらないくらい、楽しく、憂いなき人生を送る」ことが出来るのでしょうか?

【人生】=【ビジネス(仕事)】+【財産(マネー)】+【健康】+【暮らし】+【子供】
と要素分解されますから、
【ビジネス(仕事)】、
【財産(マネー)】、
【健康】、
【暮らし】及び
【子供】
といった各分解された要素分野において、それぞれアップグレードに努め、セキュリティを万全にしていけば、結果として、「豊かな人生を、楽しく憂いなく送れる」ということにつながります。

こういう観点から、

・【ビジネス(仕事)】のアップグレード(商品やサービスの改善・開発、事業拡大、新規事業創出、海外進出、株式公開、M&A等)
・【ビジネス(仕事)】のセキュリティ(法務強化、ガバナンス、コンプライアンス、契約処理、争訟対応、労務問題、税務問題等)

・【財産(マネー)】のアップグレード(株式投資、投資信託、不動産投資・REIT、先物・FX、新興国投資等)
・【財産(マネー)】のセキュリティ(保険、節税、投資詐欺、金融破綻、仮想通貨流出等)

・【健康】のアップグレード(アンチエイジング、ダイエット、体幹トレーニング、レーシック、AGA等)
・【健康】のセキュリティ(がん、脳梗塞・心筋梗塞、糖尿病、緑内障・白内障、動脈瘤等)

・【暮らし】のアップグレード(不動産、海外旅行、高級ホテル、美食、ショッピング、社交・嗜み・趣味、会員制クラブ等)
・【暮らし】のセキュリティ(相続紛争、離婚紛争、親族間不和、隣人紛争、事件・事故、SNS炎上、デマや噂の被害、名誉毀損等)

・【子供】のアップグレード(幼小お受験、中学・高校受験、大学受験、大学院受験、留学、就職、資格取得等)
・【子供】のセキュリティ(いじめ被害、いじめ加害、悪友との関係処理、問題教師、通学セキュリティ、学校事故、課外活動・スポーツ事故、事件・事故被害、ひきこもり、成績不振・学習意欲減退等)

といった形で、問題を分類・整理していき、それぞれの課題対処に知恵とスキルのあるプロや専門家のコネを作っておくことが推奨されます。

「知恵とスキルのあるプロや専門家」というのは、普通の専門家ではありません。

まず、問題の発見・特定やゴール設定が的確かつ迅速に出来る人間です。

特定の方法論について微に入り細を穿つばかりに詳しいだけではプロとしては不十分です。

クライアントや患者の不安や悩みを、願いや希望を、具体的な目標や、発見特定されたリスクや課題に迅速かつスマートに具体化出来る人間こそ、プロです。

そして、イマジネーションが豊かであることです。

定石を知っている、というだけではプロ失格です。

あの手、この手だけでも不十分です。

あの手、この手、奥の手、禁じ手、寝技、小技、反則技まで知っていて、それが経験に基づき実践できるスキルをもっていて、初めて、役に立つプロです。

もちろん、そういうプロは見つけることがなかなか難しいです。一生かけても見つけられないかも知れません。

その場合、プロを見つけるプロ(私などは、造語として、メタプロフェロショナルなどと呼称します)を探して、コネクションを保っておくことも必要です。

著:畑中鐵丸