00202_ケーススタディ_「ホウレンソウが機能しない会社」を変えるには?

<事例/質問>

ふわっとした言い方ですが、会社組織の風通しをよくしたいと考えています。

どうも、社長⇔管理職⇔社員間での報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が滞っているようで、叱咤激励しても埒が明かないのです。

昭和のやりかたではダメなことはわかっているのですが・・・。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

社内の報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を活発化させ、組織内で情報と意思を巡らせるためには、無理なく実行できる仕組みを整えることが重要です。

1 日報・週報の運用

まず、日報については、スケジュール管理ツールやアプリを活用するのが効率的です。

紙やメールでの運用では、手間がかかるうえに継続が難しくなるため、システム化することで負担を減らし、継続しやすくします。

一方、週報については、単なる業務報告ではなく、以下のポイントを中心に記載する形式にするのがおすすめです。

・「課題と対策」「注意喚起」「共有すべき情報」
・「合理性」「効率性」「生産性」「段取り」「オーナー目線」をどのように取り入れたか(または取り入れられなかったか、あるいは学べたこと)
・管理職の場合、部下に対して何を教えてあげられたか

ただの作業報告ではなく、業務の振り返りや改善点を共有することで、全体の成長につながります。

2 社長への報告会

社長との情報共有がスムーズになることで、意思決定のスピードが上がり、組織全体の方向性が明確になります。

ただし、堅苦しい報告会では負担が増えるため、柔軟な方法を取り入れるのが効果的です。

例えば、週に1回
「社長ランチ」

「朝食会」
を開き、
「一人3分以内で直面している課題を話す」
といったシンプルなルールで運用するのがおすすめです。

短時間で報告することで、要点を絞る習慣がつき、管理職同士の情報共有の場にもなります。

また、月に1回は、普段の業務とは異なるテーマで
「外部講師を招いた勉強会」
を実施し、その後に食事会を開くのも有効です。

業務の枠を超えたコミュニケーションを増やすことで、部門間の壁をなくし、会社全体の一体感を強めることができます。

3 予算の策定(予算に基づくレビュー)

会社全体で
「予算を立て、定期的に振り返る」
ことは、経営の透明性を高め、組織全体にオーナー意識を持たせるのに有効です。

予算策定の際には、単なる数字の計画ではなく、
「どのような目的で、その予算を使うのか」
を明確にし、定期的にレビューを行う仕組みを作るとよいでしょう。

管理職が
「数字に強くなる」
ことで、組織全体の視点が広がり、業務改善にもつながります。

ただし、予算の管理がプレッシャーにならないよう、
「計画→実行→振り返り(PDCA)を回しながら学ぶ場」
として運用することが大切です。

まとめ

・日報はシステム化し、週報では課題や学びを共有する形式にする
・社長との報告会は、短時間で気軽に話せる場(ランチ・朝食会)を設ける
・管理職同士の壁をなくすため、勉強会+食事会を定期的に開催する
・予算の策定とレビューを「学びの場」として運用し、オーナー意識を育てる

社内の仕組みを改善するには、
「厳しく管理する」
のではなく、
「ラクで簡単で楽しく」
をテーマにするのがポイントです。

「組織が変わることで、未来が明るくなる」
というメッセージをしっかり伝え、従業員のモチベーションを高めていきましょう。

著:畑中鐵丸

00201_ミスを回避、仕事が進む!「1つのメールに1つのトピック」のススメ

ビジネスメールにおいて、
「あれ? この件、サイトもらったっけ?」
と過去のメールを探したり、相手から
「この件について、返信をいただいておりませんが……」
と聞かれた経験はありませんか?

それは、
「1つのメールに複数のトピック」
を入れてしまったことが原因かもしれません。

「1つのメールに1つのトピック」
は、見落としやモレヌケを防ぐため、そして相手がスムーズに返信できるようにするための仕事術です。

では、なぜ
「1つのメールに1つのトピック」
が推奨されるのでしょうか?

見落とし・モレヌケを防ぐ

メールに複数のトピックを詰め込むと、相手が返信するとき、一部の内容を見落とす可能性が高くなります。

特に忙しい人ほど、メールをざっと読んで、
「とりあえず、この件だけ返そう」
と、メールの前半部分だけ返信し、その結果、
「抜け」
が発生しやすくなります。

たとえば、Aの件とBの件について同じメールで送信した場合、調査や確認が必要なBの件が混在していると、後回しにされるため、 本来すぐに戻ってくるはずのAの件の返信まで遅れてしまう場合があるのです。

しかし、Aの件とBの件を別々のメールで送れば、それぞれ独立したものとして処理されやすくなり、返信の速度が上がります。

相手の負担を減らし、返信をスムーズにする

受信したメールの内容が複数のトピックにまたがっていると、返信する側は
「どこまで答えたらいいのか?」
と悩むことになります。

1つひとつに丁寧に返信しようとすると時間がかかり、結果として返信が後回しになることも。

「1つのメールに1つのトピック」
なら、相手は短時間で瞬時に返信できるため、取引がスムーズになります。

検索・管理が簡単になる

その後メールを見返す際にも、
「1つのメールに1つのトピック」
のルールは役に立ちます。

過去のメールを検索するとき、タイトルを探すだけで、すぐに目的のメールを見つけることができます。

また、スレッドを追うときも、話題が混ざっていると、
「この返信は、緊急のAについて? それとも、Bの件?」
と混乱しがちですが、メールごとに話題を分けていれば、スレッドが整理され、必要な情報がすぐに見つかります。

どれくらい分ければいいか?

「1つのメールに1つのトピック」
のルールを意識する際、どこまで細かく分けても悩むこともあるでしょう。

基本的には、以下の基準で選択してもよいでしょう。

・それぞれ独立した返信が必要なもの

・それぞれ異なる担当者に送るもの

・重要度や締め切りが異なるもの

たとえば、
・ 「来週の会議の日程調整」と「新しいプロジェクトの提案」
・ 「契約書修正点」と「支払いスケジュールの確認」
・ 「A社との進捗報告」と「B社との契約について」
このような場合、別々のメールにするのが理想的です。

ただし、
「A社との契約に関する〇〇の件と△△の件」
など、密接に関連する話題であれば、1通のメールにまとめても問題はありません。

「相手にとってわかりやすいかどうか」
が、良いかどうかの判断基準になります。

まとめ:「1つのメールに1つのトピック」が仕事のマナー

メールの手続きをスムーズにするためには、
「シンプルでわかりやすく」
を意識することが大切です。

その中でも、
「1つのメールに1つのトピック」
のルールを守ることで、
・見落とし・モレヌケを防ぐ
・相手の負担を減らし、返信をスムーズにする
・検索・管理を簡単にする
というメリットが得られます。

「相手に送ればいいや」
ではなく、
「相手がスムーズに処理できるか」
を考えてメールを送信しましょう。

次回メールを送るときは、ぜひこのルールを意識してみてください。

きっと、相手も自分もスムーズに仕事が進められるはずです。

著:畑中鐵丸

00200_活動の成功を支える「収益性」と「仕組みづくり」:ドラッガーの5つの質問で活動継続のための設計図を描く

ひとりよがりの趣味の活動と、社会的意義のある継続的な活動。

この違いを決定づける要素は何だと思いますか。

その分水嶺となるのは
「収益性」
です。

例えるならば、どんなに高性能な車であってもガソリンがなければ途中で止まるのと同様、お金が継続的に回る仕組みを設計上ビルドインしない組織は、やがて活動停止に追い込まれます。

この種の活動設計には、現代経営学の大家、マネジメントの父と呼ばれるピーター F. ドラッガーの有名な5つの質問を考えてみることです。

これらの質問を自分たちの活動に照らして定期的に問い直すことで、方向性を確認し、社会や顧客に対して価値を提供し続ける道筋をつけることができます。

1 私たちのミッションは何か?
私たちが存在する意義とは何か、そして最終的に何を目指すべきか明確にします。

2 顧客は誰か?
その活動を必要としている人や組織は誰なのかを把握し、その対象に焦点をあわせます。

3 顧客にとっての価値は何か?
顧客が何を
「価値」
として感じるのかを考えることで、顧客にとってのニーズに応え、満足してもらう方法を探ります。

4 私たちにとっての成果は何か?
何を達成するのか、また、その成果をどのように測定するのかを明確にします。

5 私たちの計画は何か?
どのように活動を進めていくのかという具体的な行動計画を立て、それを実行します。

この問いに耐えうるように設計された活動は、きっと、未来永劫、継続することができます。

要するに、活動を成功させる鍵は、
「使命」

「収益性」
をしっかりと押さえ、顧客や社会に価値を提供し続けることにあります。

これを可能にする
「仕組みづくり」
が、意義ある活動を実現するための最重要課題と考えます。

著:畑中鐵丸

00199_決裁の流儀:決裁権者に意思決定を求めるための4ステップ

決裁権者に意思決定を求める際には、状況説明から始まり、選択肢の提案、プロコン分析、そして腹案の提案へと進む4ステップが基本となります。

相手の立場を想像し、相手に合わせたアプローチを心がけることが、大切です。

1 状況説明

まず、どのような問題が発生しているのか、またはどのような課題に対応しようとしているのかを、客観的かつ慎重に示すことが重要です。

この部分があやふやでは、後のプロセスが滞ってしまいます。

2 選択肢を抽出する

次に、複数の選択肢を抽出し、提案する段階に入ります。

1つの選択肢だけを持って
「これでどうですか?」
と問うのは避けるべきです。

重要なのは、複数の案を考え、検討材料を広げることです。

選択肢を提案する際には、それぞれが現実的であることを意識しましょう。

3 長・短所を比較する(プロコン分析)

選択肢について、長所と短所を比較します。

このプロセスにより、決裁権者は
「なぜその選択肢が有効なのか」
を論理的に理解することができます。

プロコン分析は、ただ羅列するだけではなく、状況に応じて優先順位をつけたり、コストやリスクの度合いを具体的に示すことが効果的です。

4 腹案を提示する

最後に、自分なりに考え抜いた
「腹案」
を1つ用意します。

腹案とは、上記の1~3のステップを踏まえて
「現状では最も適切だと考えられる案」
のことです。

ここで重要なのは、提案した選択肢を考慮した上で、
「その中からこれが良い」
という明確な意思を示すことです。

これにより、決裁権者は提案内容をより信頼することができます。

逆に、決裁権者に全てを丸投げしてしまうと、信頼関係を損ねる可能性があります。

ポイント:柔軟な決裁方法を意識する

決裁を求める方法(メール・口頭・電話)は、特定の形式に定める必要はありません。

重要なのは、決裁権者の考え方や状況(TPO)を見極めることです。

・忙しい決裁権者にはメールで要点を伝える
・対面での意思疎通が必要な場合には口頭で直接説明する

このように、相手に応じて
「最適な手段」
を選びましょう。

著:畑中鐵丸

00198_コンサルタント業:コンサルタントを支えるスタッフの役割:情報整理と提案のコツ

顧客は、スタッフ個人ではなく、コンサルタントの専門的な知識や能力に対する信頼を軸に依頼してきています。

そのため、スタッフは
「その役割を担うのは、コンサルタントであり、スタッフではない」
と心して業務にあたることが重要です。

スタッフ自身に判断を下す権限を持っているわけではなく、もし顧客に対してジャッジを行うようなことをすれば、顧客が不快感を抱く恐れがあります。

スタッフの役割は、顧客の意図を正確にミエル化し、整理した情報をコンサルタントに提供することにあります。

まず、顧客の要求を正確に把握しなければなりません。

この作業は一見簡単に思われがちですが、実際には、非常に難しいものです。

顧客が使いそうな表現を使ったり、あるいは、スタッフ自身の解釈が入ることは、正確なミエル化とは言い難く、整理が非常に困難となります。

顧客からの要求をコンサルタントに伝える際、何も考えずに
「キラーパス」

「ワンタッチパス」
を投げるような行為や、整理をせず全てをコンサルタントに丸投げする態度は厳禁です。

コンサルタントの負担を増やすだけでなく、顧客対応に遅れが生じる原因となります。

次に重要なのは、コンサルタントの視点を意識して準備を行うことです。

「コンサルタントだったらどう考えるか」
を自分なりに想像し、顧客の要望に応じた選択肢を整理した上でコンサルタントに提案すると、コンサルタントは顧客への解決策をより効率的に検討することが可能になります。

この対応こそが、スピードと質の両面で顧客満足度を高め、コンサルタントの働きを最大限に引き出す鍵となるのです。

著:畑中鐵丸

00197_ケーススタディ_妻の不貞と離婚要求:夫が取るべき法的対応とは?

<事例/質問>

妻が子どもを連れて、家を出ました。

紆余曲折があり、今は別居しています。

私は、何とか、妻と子どもを連れ戻そうといろいろ方策を講じましたが、ここにきて、妻の不貞が発覚しました。

ある日、妻側から、離婚したいと言ってきました。

私は、離婚したくありません。

でも、妻の意思は固いようです。

この先、どのような流れになるのでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

膠着状態を脱する意向が妻側において強まり、妻側が新たな局面展開を求めてきた、と考えられます。

しかし、即時の離婚が認められない可能性があったため、
「一定程度別居期間を経由したので、(理由はともあれ)修復不可能な状態に来ているから、離婚させろ」
という趣旨のようです。

我が国の裁判制度の建前では、いきなり離婚を裁判で求める手続きは予定されておらず、どんな理由によるものであれ、まずは、調停を前置せよ、というものであり、これを踏襲することになるでしょう。

20年以上前の最高裁判所判例では、
・有責配偶者であっても、離婚請求可能
・未成熟な子がいるなどして、離婚請求することにより、これらの子が不幸になるようであれば、認めない
というものがあります。

とはいえ、実務では、有責云々にかかわらず、破綻状態にあれば、ほぼ離婚を認め、とっとと財産の整理(合弁事業の解消)を終わらせる、という扱いが定着しています。

夫側としては、
・妻側は有責配偶者
・とはいえ、未成熟な子をもつ側が離婚を求めているので、前記最高裁判例の適用は射程外
・破綻の事実(=修復不能認定)さえあれば、離婚が認められる可能性が大きい
・あとは、カネの問題
・判例・実務では、別居時財産の折半が基本
・しかし、「そもそも、妻は有責であるし、破綻もしていないので、離婚は認められない」「仮に離婚が認められても、カネや財産は手元にないし、今苦しいし、無い袖は振れない。あと、寄与度・貢献面からいっても、足を引っ張られてばかりなので、折半はおかしい」
と、対応することになるでしょう。

著:畑中鐵丸

00196_イノベーションを阻止する壁を壊す:ルーティン支配からの脱却法

組織内でよく見られる
「ルーティン業務のブラックボックス化」

「イノベーションへの抵抗」
について、その背景と解決策については、以下のように整理できます。

1 現状の課題:ルーティン業務の支配力とイノベーションへの抵抗

(1)業務のブラックボックス化

従業員がルーティン業務に閉じこもり、外部から業務内容が見えない状態が続く。
「何をしているのかわからない」
という状況が組織全体の柔軟性を奪っている。

(2)イノベーションの困難さ
イノベーションを求められると、従業員の間に以下のような抵抗が生じる。

  • 努力不足とリスク回避:「苦労の割にリターンが不明確」「失敗時の責任を問われる」「努力が報われない」などを理由に積極的に動こうとしない。
  • 口実の探索:「イノベーションに取り組むとルーティンがおろそかになる」という言い訳を考え、実質的にイノベーションを回避する。
  • 表面上のポーズ:表向きは対応しているように見せかけ、実際には責任を回避。
  • 快適さの維持:改善提案や業務棚卸しに対して、「みんなの環境を壊されない」ようにと抵抗。
  • 最終的な回避:「最悪、会社を辞めればいい」と開き直り、努力を諦めるケースも。

2 解決策の提案:教育、整備体制、毒薬の活用

(1)教育の強化
従業員の意識改革を目指し、定期的な教育や研修を実施する。 特に、革新の意義や成功事例をわかりやすく伝え、モチベーションの向上を目指す。

(2)時間をかけた文化変革
長期的な視点のアプローチ。従業員の価値観を無理に変えようとせず、新たな価値観を持った新人が徐々に組織を浸透させていくのを待つ。

(3)劇的なイベントの導入
M&Aや部門提携、一部事業譲渡など、劇的なイベントを活用し、外部からのショックを与え、組織全体を揺さぶり、強制的にイノベーションを生み出す。

(4)合理的な体制整備
次の具体策により、ルーティン業務への依存から脱却を図る。

  • 業務の分掌:ルーティン業務を担当する「一般職」と、革新的に取り組む「総合職」を明確に選定。
  • 業務の透明化と効率化:ルーティン業務を棚卸し、ブラックボックス化を解消。徹底した工程分析により標準化・省力化を実現。
  • イノベーション部門の強化:省力化で生まれた余剰人員をイノベーション部門に再構成し、「一件・一責任者」を原則としてプロジェクトを進める。また、成功報酬や失敗時のリスク軽減策を明確明確にし、従業員のモチベーションを引き出す。

(5)リスク管理と安全ネット
体制整備を進めていく上で想定される課題(従業員の抵抗、責任転嫁など)に備え、権限や責任を明確化する。

3 経済合理性と法的合理性の視点

変革においては、次のポイントを検証します。

  • 外部依存の存在:外部コンサルタントや専門家への依存度が高いかどうかをチェックする。
  • 回避責任の排除:責任が社内で免除になり、外部に責任転嫁される事態を防ぐ。。
  • ジャッジ体制の構築:経営判断を行う権限範囲や意思決定のルールを明確にし、誤った判断があった場合には責任を明確にする。

4 事業戦略におけるバランス

事業運営においては、
「小さな成功(バントヒット)」

「大きな成果(ホームラン)」
の両立が課題となります。

  • :オーナー社長は両方の成果を出せるが、一般従業員はバントヒットすら困難な場合が多い。
  • 外部コンサルタントの限界:小さな成功の指導はできても、大きな成功のノウハウや経験を持たない。
  • 課題:バントヒットの経験のない従業員に、いきなりホームランを打てるのは現実的ではない。段階的な育成が必要。

5 まとめ

ルーティン業務に依存する組織から脱却し、イノベーションを進めるには、教育や体制整備、リスク管理をバランスよく進めることが大切です。

オーナー社長や経営陣が中心となり、変革に取り組む必要があります。

組織全体が巻き込まれる形で進むことが成功の鍵となるでしょう。

著:畑中鐵丸

00195_仕事のコミュニケーションの基本:トラブルを防ぐ、信頼を築く力

コミュニケーションが未熟だと、周囲から
「バイトクオリティ」
と見られ、信頼や評価を失うこともあります。

仕事に関しては、ただ話すだけではなく、相手に理解してもらえるような伝える力が求められます。

ここでは、よくある失敗例とその改善方法について考えてみましょう。

まず、
「証拠を残すべきでない話をメールでする」
という点。

このような軽率な行動は、相手に不信感を与えたりするだけでなく、後々トラブルを招きかねません。

仕事では、
「何を記録として残すべきか」
「何を口頭で伝えるべきか」
を正確に判断することが大切です。

これを身につけるには、周囲(先輩やトップ)の判断基準を観察することが重要です。

次に、
「謝罪」
の方法についてです。

形式的に
「すみません」
「ごめんなさい」
と謝ればいいいわけではありません。

謝罪の際には、被害を受けた相手の立場を想像し、具体的に何を謝罪するのか明確に伝え、そして改善策や再発防止策を示すことが信頼回復につながります。

また、文章力の重要性も失せません。

語彙が貧弱だったり、
「内容がよくわからない」
文章では、教養がないという印象を与えかねず、信用を損なう可能性があります。

これを改善するには、毎日から読書や執筆の習慣をつけ、表現力を磨くことが効果的です。

特にビジネス書や新聞のような、論理的かつ思考的な文章を読むことで、知覚力や文章構成力を磨けます。客観的に見直し、改善点を見つける訓練も必要です。

「伝える力」
は一朝一夕で身につくものではありませんが、地道に努力を積み重ねることで、確実に向上します。

最後に、
「伝える力」
だけでなく、
「相手の話をしっかり聞く姿勢」
も求められます。

日々の経験を糧にし、
「相手にされ、一目置かれる社会人」
を目指しましょう。

著:畑中鐵丸

00194_「一等賞」と「残念賞」:成功とリスクの基準を設定する重要性

ビジネスプロジェクトを進めていく上で、内部で共有すべき本質的な軸やゴールは、どのような状況においてもブレてはなりません。

そのために、プロジェクト開始時に
「一等賞」

「残念賞」
という基準を設定することは、リスクを明確にし、それを管理するための重要なステップです。

そして、ポジティブなニュアンスでチームの方向性を共有することが可能になります。

一等賞(目指すべきゴール)

1.事業が潤う
顧客から信頼を得て、継続的なビジネスの成長を実現し、収益が安定する。

2.事業パートナーの経済的成功
外部専門家や関連スタッフがプロジェクトの利益を得ることで協力体制が強化され、再投資が可能な環境が整う。

3.長期的な基盤の確立
顧客から安定的な収益を獲得し、事業の継続・拡大が可能となり、持続可能な運営を確立する。

残念賞(回避すべき状況)

1.市場や顧客が存在しない
顧客が存在せず、ニーズが明確化できない、あるいはビジネスモデルが具体化できない場合。

2.過剰な経営資源消費
資金や時間が過剰に費消され、事業が継続できない場合。

3.撤退したとしても、以下を実現することが重要:
– チームメンバーの士気を維持すること。
– 戦友としてのネットワークを充実させること。
– 経験値とビジネスネットワークが広がれば、価値がある。

リスクの明示と管理

「一等賞」
を目指し、
「残念賞」
を回避するためには、潜在的なリスクを理解し、正しく管理することが前提です。

以下は、リスクの例とその対策です。

リスクの例

1.市場調査の不徹底
顧客ニーズを正確に把握しないまま行動を開始し、提供する価値が顧客に響かず、コストや時間を無駄にする結果となる。

2.初期費用の膨張
事業の方向性が固まる前に過剰な資金を投入すると、採算が取れず投資回収が困難になる。

3.チームの連携不足
役割分担や権限・責任が不明瞭で、チーム内の意思疎通がうまくいかない。進捗が滞る。

リスク軽減の手法

1.低コスト参入の徹底
「しびれるくらいのケチケチ立ち上げ」によって、初期投資を抑える。

2.損失負担ルールの明確化
メンバー間で損失責任を事前に明確にし、予期せぬ負担が生じないようにする。

3.撤退の見極め
進退のタイミングを迷わず判断できる撤退基準を設定する。

4.チーム環境の維持
「話が分かるかどうか」を重視してメンバーを選び、権限と負担のバランスを適切に調整する。

一等賞と残念賞を軸としたプロジェクト推進の効果

「一等賞」

「残念賞」
を事前に設定することで、プロジェクトの方向性が明確になり、潜在的リスクに対応する準備が整います。さらに、失敗した場合でも得られた経験やネットワークを次の挑戦への資産として活用することが可能です。

これにより、どのような結果であっても、プロジェクトが新たな成長の出発点となる仕組みが築かれます。

著:畑中鐵丸

00193_謝罪の本質とその役割

「ミスをしたら謝る」とは、自分の非を認め、相手に誠意を示す行為です。

社会においてこれは基本的な礼儀であり、また人間関係や組織の円滑な運営を支える土台でもあります。

適切な謝罪は、単に
「ごめんなさい」
と言葉で済ませるものではなく、真剣な態度と具体的な行動を伴うことが求められます。

それが相手との信頼関係を回復し、再び良好な関係を築く鍵となります。

謝罪の際に重要なのは、自分の失敗に対する
「ペナルティ」
を自ら設ける姿勢です。

ペナルティとは、単なる罰ではなく、自分の過ちに向き合い、反省と償いを行う機会を作るものです。

この行動を通じて初めて、失敗の重みを実感し、再発防止への意識を高めることができます。

謝罪は義務ではありませんが、正しい方法で行うことは、相手からの信頼を取り戻す強力な手段になるだけでなく、自分自身の成長にもつながります。

ただし、謝罪が形だけに終わる場合、その態度は他者への配慮が欠如していると見なされます。

このような態度を取る人は、組織内での評価を下げ、社会人としての資質を疑われることにもつながります。

そのため、謝罪には言葉だけでなく具体的な行動が不可欠です。

謝罪を通じて問われるのは、結局のところ
「常識とは何か」
という問いです。

謝罪の方法や態度は、その人の
「常識」
の程度を測る重要な指標となります。

謝罪を適切に行うことは、社会人としての基本を再確認し、個人としても組織人としても成長する機会を与えてくれます。

結論として、謝罪は単なる儀礼ではなく、言葉と行動の両輪によって初めてその誠意が伝わります。

これを実践することで、信頼回復だけでなく、自らの成長や社会人としての在り方を深く考え直すきっかけを得るのです。

著:畑中鐵丸